将棋研究 2六歩の足跡

当ブログについて

 皆様初めまして。当ブログ「将棋研究 2六歩の足跡」では、居飛車党のための序盤についてソフトの研究やプロの実戦などから得た筆者の研究の成果を綴っていくブログです。至らぬ点は多々あるかと思いますが、このブログを少しでも皆様の実戦に役立てて頂けたら光栄です。

 

追記:現在更新をお休みしています。申し訳ございませんm(_ _)m

 

当ブログの現在のメインコンテンツ

 対三間箱入り娘急戦シリーズ

part0 https://shogi-vinegar.hatenablog.com/entry/hakoiri0

目次 https://shogi-vinegar.hatenablog.com/entry/hakoiri-mokuji

筆者が有力視しているマイナー戦法、箱入り娘急戦について掘り下げたシリーズです。私が以前に某所で書いていた記事を見やすく、一部結論を見直しして、大幅に加筆・修正した記事も一部含まれています。

 

 △54銀型雁木を潰す!左美濃急戦シリーズ

part1 https://shogi-vinegar.hatenablog.com/entry/gangi1

目次記事 https://shogi-vinegar.hatenablog.com/entry/gangi-mokuji

巷で話題の△54銀型(△63銀型)雁木を左美濃で潰していこうという記事です。雁木には早繰り銀を対策とされている方も多くいらっしゃるとは思われますが、是非この記事を読んで左美濃を採用していただけたらと思います。

 

 角換わり腰掛け銀vs早繰り銀 研究最前線シリーズ

part1 https://shogi-vinegar.hatenablog.com/entry/hayakuri1

腰掛け銀vs後手早繰り銀のー変化、△75歩▲65歩△76歩の順など、定跡に出てくるような変化を掘り下げて結論を出そうという趣旨の記事です。

 

 威力抜群!対先手中飛車居合い抜き超速△65銀ぶつけシリーズ(完結)

part1 https://shogi-vinegar.hatenablog.com/entry/65gin1

居飛車党にとって悩まされる先手中飛車を少し前に流行った居合い抜き超速を使って、その中でも△65銀とぶつけていく破壊力抜群の仕掛けで先手陣をめちゃくちゃにしてやろうというシリーズです。

 

 以上が現在執筆中の研究記事となります。土曜日に週1の更新を予定しています。是非ご覧になって頂ければ嬉しいです。

✳︎この記事は最新記事として上部に固定され、研究記事が増える度に随時更新されていきます。

対三間箱入り娘急戦 目次篇

このページは雁木シリーズと同様に記事が煩雑になってきたため、目的の記事に辿りつきやすくするためのアンテナページです。

※このページは「当ブログについて」などと同様に、記事一覧上部に固定され、本シリーズ更新とともに随時更新されます。

※性質上、雁木シリーズ目次とは違い、この記事は変化ごとに体系化、part分けして目次を書いていきます。また、改行するときのスペースで変化の分岐を示しているのでスマホ等からだと見にくい場合がございますことをご理解下さい。

 

シリーズ基本図

この仕掛けについての概要

対三間箱入り娘急戦 part0 その特徴と利点 - 将棋研究 2六歩の足跡

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  →△同歩▲同銀

     → coming soon...

      →△63金▲54歩△同銀▲24歩△同歩▲35歩

     →36手目△45歩(1図)

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       →▲同桂△88角成▲同銀

         →△44歩    part1

対三間箱入り娘急戦part1 36手目△45歩型① - 将棋研究 2六歩の足跡

         →△42飛 part2

対三間箱入り娘急戦 part2 36手目△45歩型② - 将棋研究 2六歩の足跡

                               →△45銀など捻った応手 part3

対三間箱入り娘急戦 part3 36手目△45歩型③まとめ - 将棋研究 2六歩の足跡

     →36手目△同歩▲34歩△51角▲44角(9図)

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       →△34飛 part4

対三間箱入り娘急戦 part4 36手目△同歩型① - 将棋研究 2六歩の足跡

       →△36歩▲45桂△37歩成▲53桂不成(11図)

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          →△同金、△28と、△52金、△34飛  part5

対三間箱入り娘急戦 part5 36手目△同歩型② - 将棋研究 2六歩の足跡

          →△62角 part6

対三間箱入り娘急戦 part6 36手目△同歩型③ - 将棋研究 2六歩の足跡

          →△71金▲41桂成△62角▲同角成(13図)

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             →△同金引▲24飛

                →△22歩▲33歩成△同飛▲54飛

                  →△53歩  part7

対三間箱入り娘急戦 part7 36手目△同歩、44手目△71金型① - 将棋研究 2六歩の足跡

                  →△47と  part8

対三間箱入り娘急戦 part8 36手目△同歩、44手目△71金型② - 将棋研究 2六歩の足跡

                 →△47と  part9

対三間箱入り娘急戦 part9 36手目△同歩、44手目△71金型③ - 将棋研究 2六歩の足跡

            →△同飛▲37銀△55角▲46銀△99角成▲88銀△98馬▲44角

                →△84香  part10

対三間箱入り娘急戦 part10 36手目△同歩、44手目△71金型④ - 将棋研究 2六歩の足跡

               →△95歩▲同歩(22図)

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                →coming soon...

 

△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 目次篇

 このページは雁木シリーズの記事が煩雑で分かりにくいという方のために、局面ごとに記事を紹介して、目的の記事に辿り着きやすくするためのアンテナ的なページです。

 ※この記事は「当ブログについて」と同様、上部に固定され、本シリーズの更新に従って随時更新されていきます。

①△54銀、△41玉型(基本1図)     part1~2

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→後手の基本的な対応

△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part1 - 将棋研究 2六歩の足跡

→後手のひねった対応

△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part2 - 将棋研究 2六歩の足跡

 

②△63銀、△31玉型(基本2図)  part3

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△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part3 - 将棋研究 2六歩の足跡

 

③上記両基本形から▲45歩の仕掛けに対し△54銀、△31玉型を築く場合(6図)

part4~5

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→6図から角交換して▲77角に△43歩

△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part4 - 将棋研究 2六歩の足跡

→6図から角交換して▲77角に△43金右

△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part5 - 将棋研究 2六歩の足跡

 

④△54銀△61玉型で▲16歩に△74歩(端歩の交換がない場合)(基本3図) part6~

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→普通の対応、36手目△44角(13図)

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  →13図から△43銀

   △54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part6 - 将棋研究 2六歩の足跡

  →13図から△43金右

   △54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part7 - 将棋研究 2六歩の足跡

      →13図から△26角、その他

    △54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part8 - 将棋研究 2六歩の足跡

→36手目△75歩

    part9   comimg soon...

対三間△54銀型箱入り娘急戦 part0

今回は新シリーズです。今までの箱入り娘急戦は△43銀・△54歩型を想定しており、▲55歩からの仕掛けを考えていました。しかし実戦では△54歩を突かずに△54銀と進出して角頭を狙って来るのも有力な指し方です。そこで今回のシリーズでは後手△54銀型についての指し方を研究していこうと思います。

このテーマの基本図を提示します。

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この基本図は、△54銀を見て▲26飛と浮いた形です。この形まで組むのに必要なことは、▲56歩を保留することです。駒組みの段階で、できるだけ▲56歩を突かずに桂跳ねなどを優先して下さい。ちなみに▲56歩自体は決してマイナスではないので、序盤に四間飛車を見せられるなど後手が手損した場合は▲56歩を突いてしまっていても問題ありません。

具体的な手順をそのあとの記事で述べるとして、この戦法の特徴を先に示しておこうかと思いますが、これもさして今までの箱入り娘シリーズ(△54歩型)と変わりません。展開によっては急戦の定跡形の攻めになりやすく、また若干腰は重く攻めるような将棋になりやすいと思います。この形の方針を大きく三点挙げるとすれば、

①やはり右桂を跳ねる展開を目指す。

②とにかく飛車成りを当面の目標に、2~4筋で仕掛ける。

③相手の飛車は捌かせない。右銀は玉の堅さではなく、手厚さに使う。

これだけ頭に入れておけばとりあえずある程度勝ちやすい戦いはできると思います。

さて、本編となる次回は基本図から①△45歩を検討します。

対三間箱入り娘急戦 part11 36手目△同歩、48手目△同飛型②

今回は前回の続き、22図から後手の応手を考えていこうと思います。22図を再掲します。

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22図からの手順①

△同香▲96歩△同香▲97歩△同香成▲同銀△84香▲88銀△65歩▲77金まで先手良し(結果23図)

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まず、前回示した選択肢の中で最も先手の良くなりやすい△同香から検討します。これには▲96歩から連打して香を召し取ります。香を取る以上の攻めが後手にないのでこの歩の連打は手抜けません。香を取ってからは△84香~△65銀が一番うるさい攻めですが、▲77金が好手で受かっています。後手からはこれ以上の攻めがないので先手良しの形です。

ちなみに▲77金に代えて焦って▲99歩は△88馬~△76銀~△96銀が案外いやらしく、一応受かってはいますが意外と先手も大変な形です。

22図からの手順②

△96歩▲11角成(23図)

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22図から△96歩と垂らすのも人間らしい手で厄介な手です。これには黙って角を成っておきます。

23図からの手順①

△95香▲99香△同馬▲同銀△97歩成▲同桂△97香成▲98歩△96成香▲88銀まで難解ながら先手指しやすいか(24図)

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23図から△95香として端の突破を狙うのが一番自然かと思います。それには▲99香と角を捕獲し、(▲99歩は△89馬で負け)後手の攻めに対応していく構想になります。

結果24図は形勢自体は難しいですが、後手は唯一の大駒が使いづらく、先手は右辺が広いので先手玉が捕まりにくく、人間的には先手勝ちやすい局面のように思います。図以下、△84桂や△84香が自然ですが先手は受け流しつつ右辺に逃げ込むイメージで指しましょう。

23図からの手順②

△84香▲99香△同馬▲同銀△97歩成▲同桂△96歩▲88銀△95香▲98歩△97歩成▲同歩まで難解ながら先手指しやすいか(結果25図)

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23図で△84香とした場合、結果25図まではほぼ一本道に近いと思います。

迎えた結果25図はほぼ結果24図と同じような展開・結論で先手指しやすいように思います。以下は△91香▲79金で受け流していく将棋です。

以上22図から二通りの指し手をみてきました。いずれも難解ですが先手持ちの変化が多いような気がします。次回は22図から後手の他の手段を調べます。

 

対三間箱入り娘急戦 part10 36手目△同歩、44手目△71金型④

記念すべき10part目です。前回の最後でも述べたように、今回は13図まで戻って①△同金引ではなく、②△同飛とする順を調べていきましょう。13図を再掲します。

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13図からの手順②

△同飛▲37銀△55角▲46銀△99角成▲88銀△98馬▲44角(21図)

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13図から△同飛には▲24飛とすると今までの変化に比べて後手の飛車があたりを避けていることで、△47とと攻め合われたときに先手が損をしてしまうのでよくありません。ここは一旦△37銀と払います。対して後手は△55角と打つ一手。人間的にもこれを打たない人はいないでしょう。以降も一本道の展開が続き21図を迎えます。

21図からの手順①

△84香▲11角成△65銀▲99香まで先手良し(結果22図)

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21図から単に△84香を調べましょう。これには▲11角成として香車を取って87にプレッシャーをかける△65銀に▲99香とすれば十分です。

図以下は△99馬▲同銀△76銀▲88銀、△88馬▲同玉(▲同馬は△76銀で割と大変)△76銀▲78金と進めて後手の攻めが切れ模様で▲21馬の筋もあるのでどちらも先手良しです。

また、21図から△84香に代えて△65銀もやはり同じように▲99香が間に合うので先手十分です。後手は△95歩としても香を持たれた後のタイミングでは手抜かれてしまいます。

21図からの手順②

△95歩▲同歩(22図)

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よって後手はこのタイミングで△95歩が最善でこれは先手も流石に手抜けません。

この利かしを入れておいて、また後手の手が大量に分岐します。

①△同香②△96歩③△65銀④△84香⑤△45歩

が考えられる範囲で有力そうな手です。次回からはこの21図をテーマにしてこの5通りの応手に対して検討していこうと思います。

 

 

対三間箱入り娘急戦 part9 36手目△同歩、44手目△71金型③

今回は前回書いたように15図がダメということで14図に戻って②△47ととする順を調べます。14図を再掲します。

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14図からの手順②

△47と▲21飛成(19図)

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△47とには当然飛車を成って後手の手が①△31歩と②△34飛に分岐します。まず①△31歩から調べます。

ちなみに③△52飛は▲51成桂△53飛▲55歩△46と▲54歩△同飛▲55歩△同飛▲44角と進めて先手2000プラスの勝勢です。▲55歩が二回ありましたがどちらとも駒を逃げると▲54桂が厳しく、取るよりありません。

19図からの手順①

△31歩▲24竜△23歩▲35竜△24角▲44竜△46と▲16桂(20図)

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まず、本命の①△31歩には▲24竜として、△34竜を防ぎ、▲33歩成を狙いつつ54の銀まで狙いをつけます。

対して、後手普通の△46と(こちらが実戦では一番多いと思います)には、▲33歩成から竜を追って行って▲42成桂△53飛▲55歩△65銀▲52とが厳しいです。△同金には▲64竜があり(変化A図)先手優勢です。また▲24竜に△44角も考えられるところですが、▲66桂△63銀▲45歩△22角に▲31成桂の活用が厳しく、こちらも先手優勢です。

ソフトの示す最善は△23歩で、これは先手も△14角などの筋もちらつき取りにくいところです。よって▲35竜に△24角(ここで単に△46とも同じように竜を追われて先手優勢)▲44竜△46とと進みます。ここでは、先手に▲33歩成を許さないのが後手最善の頑張りといえるでしょう。

しかし、そこで▲16桂と打つのが面白い一着です。

20図からの手順

 △15角▲54竜△58歩▲51角△26角▲27歩△37角成▲33歩成まで先手良し(結果20図)

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▲16桂に対して△43銀打のように逃げない手は▲24桂が飛車にあたり、大駒の取り合いは先手に分があります。よって△15角と逃げます。▲54竜に後手の手が広いですが、実は15の角が働きにくいこともあって評価値を保てる手は意外と少なく、甘い手であれば▲95歩からの端攻めが確実です。先手の方針としては常に後手から厳しい手がなく、先手からもはっきりとした手がないときは端を攻めるのが最善手になりやすいということを念頭に置いておきましょう。ここで後手は△58歩とと金攻めを見せるのが最善で、先手も▲51角が巧い切り返しで応戦します。△同角は▲同成桂で駒が近寄ってくるので(そのあとまた△15角ならいよいよ▲95歩を敢行して十分)△26角と逃げますが▲27歩とさらに角を追い、▲33歩成とした局面までを結果図とします。

結果20図は以下△12飛なら▲95歩から端に手をかけつつ▲42成桂~▲62角成などの攻めを見ます。また、△52飛には▲53歩△同金(△同飛は▲同竜~▲62銀)▲43と!△51飛▲53と!と進めていずれも先手良しです。結果図は先手良しの局面でしょう。

19図からの手順②

△34飛▲35歩△44飛▲45歩△14飛▲95歩△46と▲94歩△92歩▲42成桂まで先手良し(結果21図)

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19図に戻って②△34飛とする手を見てみましょう。それには先手は▲35歩と竜を追います。後手は逃げ場所が難しいので歩を使わせてから△14飛としますが、やはりここで端に手をかけます。

▲95歩に△同歩はやりづらく▲42成桂から▲15香の筋があり、この香を取れないようでは(▲91銀が取ると厳しい)先手優勢です。なので後手は端を謝ることになりますが、冷静に▲42成桂くらいで先手良し~優勢の局面です。結果21図以下、後手の手が難しく、先手は▲53歩の垂らしなどを間に合わせていけば勝てるので、方針が分かりやすいのです。図は見た目以上に差がついていて、ソフトの評価値も300くらいですが進めていくと開いていきます。

 

以上、14図から△47ととした局面でも先手が有望であることがわかりました。前回の記事と合わせて考えれば、14図自体がすでに先手の模様が良いと言えるでしょう。

よって次回からはさらに戻って13図

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で、①△同金引ではなく、②△同飛を調べます。ここでも先手が良ければ13図が、ひいては箱入り娘36手目△同歩自体が先手良しとなり、この仕掛けの成立がかかっています。それではまた次回検討しましょう。