将棋研究 2六歩の足跡

△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part5

前回に引き続いて、△43歩に代えて△43金右とした形を調べていきます。

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6図からの手順②

△同角▲同角△同銀▲77角△43金右▲24飛(9図)

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△43金右は上部に手厚い形で、前回同様に▲15歩~▲35歩はこの瞬間が何でもないので失敗します。そのため、今回は▲24飛から攻めていきます。ここで後手からは2通りの有力手があります。

 9図からの手順①

△23歩▲29飛△38角▲26飛△49角成▲45歩△33銀▲25桂(10図)

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△23歩への引き場所ですが、29が正しい位置です。代えて▲28飛としてしまいますと、△45歩と被せられて△37角があり、▲同桂としにくい形です。しかし29ならば問題なく取れるので△45歩は怖くありません。

後手は△49角成と馬を作ってプレッシャーをかけますが、狙い筋の▲45歩~▲25桂が実現しました。

10図からの手順

△22銀▲35歩△24歩▲44歩△42金▲55銀(11図)f:id:shogi_vinegar:20180812130403j:plain

▲25桂に対して銀を逃げる以外の手は(例えば△86歩から継ぎ歩など)速さに欠けるため、すぐに悪くなります。よって銀は逃げる一手ですが、▲35歩と追撃します。後手も△同歩は大きく利かされで端を絡められつつどこかで▲33歩が厳しいです。△24歩▲44歩△42金でじっと▲34歩と取り込むのも有力ですが、この記事では激しい▲55銀を調べましょう。

11図からの手順①

△65銀▲43歩成△同金直▲44銀まで先手優勢(結果11図)

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銀を躱す△65銀には銀をぶつけて先手優勢です。結果11図以下△54金なら▲33桂成△同桂▲34歩というオシャレな手順で優勢、また△同金なら▲同角に対して△42玉はもちろん▲46飛、△42銀にも▲46飛が非常に厳しいです。以下△27馬と逃げれば▲53角成!で技ありです。(上変化3図)

また、65ではなく△45銀と45に躱すのは▲66飛車がぴったりです。

11図からの手順②

△同銀▲同角△54銀▲64角△38馬▲47銀△39馬▲34歩△25歩▲同飛△23銀▲24歩△34銀▲75飛△83飛▲77桂まで先手指しやすい?

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▲55銀ぶつけには取って打ち直すのが粘り強い一着で、▲64角にも桂取りを急がず△38馬と74への引き付けを見せるのが好手順です。代えて桂取りを急ぐと馬の活用が遅れ、5段目に飛車の横利きが通った時に▲71銀のような筋が生じて先手十分です。

対して先手も銀を打ち付けて相手玉に嫌味をつけつつ85での飛車交換を狙うのが筋になります。結果11図周りはソフトでも一手一手長い時間で読ませましたが激戦です。ただ、わずかながら固い分、先手が指せると思います。

最後に9図まで戻って△46角の変化を紹介します。とはいえこれはさほど先手にとって怖い変化ではありません。

9図からの手順②

△46角▲27飛△26歩▲17飛△65歩▲15歩△同歩▲45歩△33銀▲25桂△22銀▲13歩△同桂▲15飛まで先手良し(結果13図)

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△46角~△26歩と飛車を押さえつけられ、気分は悪いのですがその後の端を絡めた攻めが厳しいので先手が良くなります。途中△22銀で△16歩は▲47飛が角取りの先手になります。

結果図以下△25桂は▲22角成で勝負あり。△14歩~△12歩と我慢するくらいですが、じっと▲15飛で▲14歩を狙って優勢です。

以上で△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦シリーズのメインとなる△41玉型、31玉型の解説を大体終えることができました。次回以降は端の突き合いがない場合、または△51玉型の場合などについて解説していきます。