将棋研究 2六歩の足跡

威力抜群!対先手中飛車居合い抜き超速△65銀ぶつけ part2

前回の記事の基本1図からの指し手について、今回は最も頻出の①▲同銀を調べていきます。

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基本1図からの手順①

▲同銀△同桂(3図)

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基本1図から▲同銀は最も普通の手で実際8割くらいはこう進むところだと思います。後手も当然△同桂と取る一手で3図から角の逃げ場所が①▲68角、②▲59角の二通りに分岐します。ちなみに▲66角は当然の△86歩が厳しく既に後手優勢です。

 3図からの手順①

▲68角△86歩(4図)

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変化が多岐にわたるので、細かく図を使って解説します。

▲68角には△86歩が呼吸です。ここから、これに対応する手として①▲同歩②▲同角③▲54歩が有力です。④▲46角も気になるところですが、△45銀と打っておいて▲54歩には△46銀と角をとれますし、角を逃げれば△87歩成が確実なので問題ありません。

4図からの手順①

▲同歩△57銀▲同角△同桂成▲同飛△86歩▲79金△13角▲46銀△87飛成▲54歩△76竜▲77歩△86竜▲53歩成△同銀まで後手優勢(結果1図)

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4図から①▲同歩には57の地点に銀をぶち込みます。▲同飛とする人はさすがにいないでしょうから(先手の攻撃力がなくなり竜を作った後手が当然優勢になる)、▲同角の一手ですが飛車を走って竜ができる形になりました。

後手は△13角のにらみで銀を使わせてから竜を作って、△76竜とします。対して▲77銀は勝負どころがなくなるので、歩で受けますが竜を6段目に置くのが急所で、先手の中央攻めは怖くありません。

結果1図以下は、▲54歩には△56歩があり、取り合うしかありませんが、52の金を取らせてから手を戻せば後手必勝です。また、結果1図で一回▲59飛と先受けするのも△57歩と垂らしが好手で▲同飛には△56歩~△57角とゴリゴリ攻めて後手勝勢です。

4図からの手順②

▲同角△13角(5図)

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4図から②▲同角には△13角と切り札を使用します。この局面ですでに評価値的には後手優勢ですが、変化がいろいろあるのでさらに掘り下げます。

5図からの手順①

▲66銀△57銀▲65銀△58銀成▲同金右△88飛▲78銀△86飛▲同歩△57角まで後手優勢(結果2図)

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5図から57の地点を銀で受けつつ桂を狙う▲66銀は自然でそれでも後手は57に銀をぶちこんで、飛車を奪いに行きます。(5図から▲46銀は桂をとれない分▲66銀に劣るので割愛)

△57銀に飛車を逃げれば△66銀~△57桂不成があるので飛車を見捨てて桂を取るよりありませんが、後手は△58銀成で飛車を取ります。対して▲同金左は△88飛と打ち込まれてしまうので▲同金右ですが、これでも△88飛がありました。そこから結果2図までは先手は必然の進行で、△57角打!が打ちづらい好手です。結果図から▲15歩なら△78飛成~△39銀がありますし、▲81飛と角を無視すれば、重そうな△79角成が意外に受けづらく後手勝勢です。

5図からの手順②

 ▲15歩△57角成▲14歩△67馬▲13歩成△同桂▲12歩△同香▲14歩△18歩▲同香△17歩▲同香△25桂▲16香△17歩まで先手必勝(結果3図)

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人間的には△13角の瞬間▲15歩と突く手が気になるかもしれません。しかしあわてず騒がず△57角成~△67馬で次の△57桂不成(成どちらでも)をみせて焦らせるのが巧い順で、先手の端攻めは見た目ほど厳しくないので困っています。△67馬には▲78銀がソフト最善の粘りですがじり貧で先手つらいですし、仕方なく端をいじるくらいですが歩の連打から桂はねがぴったりです。手順は省略しますが、結果図までの途中の歩のたたきに無視するのはもっとひどい目に合うので、結果図まで進むしかありませんが△17歩が次の△19銀をみた好手の垂らしで評価値2000点程の後手必勝です。

4図からの手順③

▲54歩△87歩成▲46角△85飛

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4図に戻って△86歩に手抜いて③▲54歩~▲46角とするのも有力です。後手は△85飛と大人しく当てられにくい場所に逃げておきます。ここで先手の手が分岐します。

6図からの手順①

▲91角成△54歩▲同飛△78と▲58金右△89飛成まで後手勝勢(結果4図)

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シンプルな▲91角成には△54歩と手を戻すのが落ち着いた対応です。これで先手に指したい手がありません。自然な▲同飛なんでもないので△78とから飛車を成り込んだ後手が当然勝勢です。結果4図以下、先手は馬が使いにくいので▲46馬と引き付けたいところですが、それには△13角がぴったりです。

6図からの手順②

▲53歩成△同銀▲54歩△44銀▲53銀△57歩▲52銀成△同金▲59飛△13角まで後手優勢(結果5図)

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6図から▲53歩成~▲54歩も自然です。対して後手は銀を逃げますが、▲53銀と打ち込みます。しかし後手は5筋に歩が利くようになっているので△57歩があります。(なお、▲54歩や▲53銀成に代えてのタイミングで▲91角成は△57歩と抑えてから△13角などの活用があります)

△57歩に▲52銀成を入れてから▲59飛と逃げますが、△13角がやはり味のいい活用です。結果5図以下▲同角成は△同香でさっぱりしてしまい、飛車先の破れている後手が優勢です。また、▲91角成はこの瞬間が甘く、△78と▲同金△58銀▲88香△59銀成▲同金△58歩成▲同金△57桂成▲59金△48銀▲85香△59銀成▲92飛△51歩(変化1図)が一例で、後手勝勢です。道中変化の余地もありますが、ゴリゴリ押していけば1手差以上の勝ち筋だと思います。

以上、4図から①▲同歩②▲同角③▲54歩とみてきましたがいずれも後手が優勢になることが分かりました。次回は戻って3図から▲59角と逃げる手を検討します。