将棋研究 2六歩の足跡

対三間箱入り娘急戦 part9 36手目△同歩、44手目△71金型③

今回は前回書いたように15図がダメということで14図に戻って②△47ととする順を調べます。14図を再掲します。

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14図からの手順②

△47と▲21飛成(19図)

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△47とには当然飛車を成って後手の手が①△31歩と②△34飛に分岐します。まず①△31歩から調べます。

ちなみに③△52飛は▲51成桂△53飛▲55歩△46と▲54歩△同飛▲55歩△同飛▲44角と進めて先手2000プラスの勝勢です。▲55歩が二回ありましたがどちらとも駒を逃げると▲54桂が厳しく、取るよりありません。

19図からの手順①

△31歩▲24竜△23歩▲35竜△24角▲44竜△46と▲16桂(20図)

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まず、本命の①△31歩には▲24竜として、△34竜を防ぎ、▲33歩成を狙いつつ54の銀まで狙いをつけます。

対して、後手普通の△46と(こちらが実戦では一番多いと思います)には、▲33歩成から竜を追って行って▲42成桂△53飛▲55歩△65銀▲52とが厳しいです。△同金には▲64竜があり(変化A図)先手優勢です。また▲24竜に△44角も考えられるところですが、▲66桂△63銀▲45歩△22角に▲31成桂の活用が厳しく、こちらも先手優勢です。

ソフトの示す最善は△23歩で、これは先手も△14角などの筋もちらつき取りにくいところです。よって▲35竜に△24角(ここで単に△46とも同じように竜を追われて先手優勢)▲44竜△46とと進みます。ここでは、先手に▲33歩成を許さないのが後手最善の頑張りといえるでしょう。

しかし、そこで▲16桂と打つのが面白い一着です。

20図からの手順

 △15角▲54竜△58歩▲51角△26角▲27歩△37角成▲33歩成まで先手良し(結果20図)

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▲16桂に対して△43銀打のように逃げない手は▲24桂が飛車にあたり、大駒の取り合いは先手に分があります。よって△15角と逃げます。▲54竜に後手の手が広いですが、実は15の角が働きにくいこともあって評価値を保てる手は意外と少なく、甘い手であれば▲95歩からの端攻めが確実です。先手の方針としては常に後手から厳しい手がなく、先手からもはっきりとした手がないときは端を攻めるのが最善手になりやすいということを念頭に置いておきましょう。ここで後手は△58歩とと金攻めを見せるのが最善で、先手も▲51角が巧い切り返しで応戦します。△同角は▲同成桂で駒が近寄ってくるので(そのあとまた△15角ならいよいよ▲95歩を敢行して十分)△26角と逃げますが▲27歩とさらに角を追い、▲33歩成とした局面までを結果図とします。

結果20図は以下△12飛なら▲95歩から端に手をかけつつ▲42成桂~▲62角成などの攻めを見ます。また、△52飛には▲53歩△同金(△同飛は▲同竜~▲62銀)▲43と!△51飛▲53と!と進めていずれも先手良しです。結果図は先手良しの局面でしょう。

19図からの手順②

△34飛▲35歩△44飛▲45歩△14飛▲95歩△46と▲94歩△92歩▲42成桂まで先手良し(結果21図)

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19図に戻って②△34飛とする手を見てみましょう。それには先手は▲35歩と竜を追います。後手は逃げ場所が難しいので歩を使わせてから△14飛としますが、やはりここで端に手をかけます。

▲95歩に△同歩はやりづらく▲42成桂から▲15香の筋があり、この香を取れないようでは(▲91銀が取ると厳しい)先手優勢です。なので後手は端を謝ることになりますが、冷静に▲42成桂くらいで先手良し~優勢の局面です。結果21図以下、後手の手が難しく、先手は▲53歩の垂らしなどを間に合わせていけば勝てるので、方針が分かりやすいのです。図は見た目以上に差がついていて、ソフトの評価値も300くらいですが進めていくと開いていきます。

 

以上、14図から△47ととした局面でも先手が有望であることがわかりました。前回の記事と合わせて考えれば、14図自体がすでに先手の模様が良いと言えるでしょう。

よって次回からはさらに戻って13図

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で、①△同金引ではなく、②△同飛を調べます。ここでも先手が良ければ13図が、ひいては箱入り娘36手目△同歩自体が先手良しとなり、この仕掛けの成立がかかっています。それではまた次回検討しましょう。