将棋研究 2六歩の足跡

対三間箱入り娘急戦 part7 36手目△同歩、44手目△71金型①

今回は11図から最強の手段、△71金を調べていこうと思います。

11図を再掲します。この変化は後手にとって有力な変化が多いので慎重に細かく図面を使って調べていきます。

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11図からの手順⑥

△71金▲41桂成△62角▲同角成(13図)

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11図から⑥△71金とすれば13図まではほとんど一本道です。問題はは13図で①△同金引、②△同飛どちらも有力でともに検討が必要です。ちなみに△同金上は前々回記事の11図から△52金の変化と合流し、金の形が悪いので先手有利です。

まずは△同金引から見ていきます。

13図からの手順①

△同金引▲24飛(14図)

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△同金引には当然▲24飛と走って勝負します。ここで再び後手の手が分かれます。すなわち、①△22歩と受ける手と②△47とと攻め合う手です。

14図からの手順①

△22歩▲33歩成△同飛▲54飛(15図)

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△22歩には▲33歩成とします。△同桂では▲54飛の後に▲43角の筋も残り、なにをやっているかわからないので△同飛の一手に▲54飛と銀を取っておきます。

ここでも後手の手が分岐し、△53歩、△47とが有力手です。他にも候補はありそうですが、△51飛成に手がないと当然苦しくなりますし、それを上回るような攻め筋も△47と以外考えにくいので、この二択以外はないと思われます。

 15図からの手順①

△53歩▲44飛(16図)

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△53歩には一回▲44飛とよります。ここでも後手の分岐が2通りあります。疲れますね。

 16図からの手順①

△47と▲51角△43歩▲34歩△23飛▲64飛△63歩▲24歩△64歩▲23歩成△61金▲42飛△46と▲62銀まで先手優勢(15図)

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△47との攻め合いには▲51角と打つのが急所です。対して①△46となら▲34歩と打ってⅠ△43歩なら▲62角成を利かしてから飛車を取り合って陣形差で先手優勢、Ⅱ△24飛なら▲24歩と打ち、今度の△43歩には▲46飛が冷静で後手の飛車だけが死んでいる形です。また、▲51角に②△38(39)飛成は▲62角成~▲42飛成が非常に受けづらいです。例えば△71角なら▲51成桂とよって▲61金をみせ、それに△33角には▲62飛成~▲52成桂で先手が押し切れる格好です。

よって▲51角には③△43歩と受けますが、▲34歩~▲64飛~▲24歩と歩で飛車を捕まえに行きます。飛車を取り合った形はこれも陣形差が生きる展開で▲42飛と打って攻めれば十分です。以下、受けも難しいので△46とくらいですが、▲62銀と打ち込んだ結果15図は先手の攻めが止まらず優勢です。結果図から清算して△71銀も、▲32竜と逃げておいて▲61金という少し見えづらい寄せがなかなか厳しいです。

飛車交換のあった局面はこのような形では基本的に先手良しだと覚えておいてください

16図からの手順②

△43歩▲24飛(17図)

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16図からは△47とはダメで△43歩が最善です。対して先手は▲24飛と回ります。後手はここで①△23歩と飛車成を許さない手と②△47ととこのタイミングで攻め合う手があります。

17図からの手順①

△23歩▲34歩△24歩▲33歩成△47と▲43と△46と▲42成桂△28飛▲58歩まで先手優勢(結果16図)

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17図から△23歩とする手には▲34歩と打って飛車交換を目指します。上でも述べましたが、このような形では基本的に先手良しです。

以下は先手が望めばほぼ一本道の進行です。先手はと金と成桂の活用が遅いようでも意外と早く、また最終手▲58歩が後手の攻めを止める好手で、後手にとって攻めにくい展開でこれも先手優勢です。この▲58とも46にと金がいる形ではよく出てくるので覚えておきましょう。

17図からの手順②

△47と▲51角△38飛成▲62角成△同金▲22飛成△61金▲51成桂△同金▲63銀まで先手優勢(結果17図)

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△47との攻め合いにはやはり▲51角と打って対抗します。対して△23歩は▲34歩がありますし、△46とは▲22飛成△61金▲33角成△同桂▲52歩が間に合います。先手の形は耐久力があり、△55角などの筋も意外と結構耐えるので攻めさえ切れなければ一手勝ち以上が見込めます。

▲51角には△38飛成が正着ですが、角を切り飛ばしてから▲22飛成が厳しいです。△32歩のような受けでは▲21竜で逆効果なので△61金と引くくらいですが、▲51成桂~▲63銀が見えづらい寄せで角、桂しかない後手は受けが難しく、先手優勢となります。

以上、長く書いてきました。

今回回収できた変化は15図から①△53歩以下で、どれも先手良くなりました。変化があまりにも多いので回収に時間がかかりますが、次回以降も残り変化を回収していこうと思います。

追記:今回から44手目△71金の変化に関する記事が続くため、記事のタイトルを変更し、36手目△同歩型の中でもさらに44手目△71金型としました。