将棋研究 2六歩の足跡

威力抜群!対先手中飛車居合い抜き超速△65銀ぶつけ part1

今回から始まるこのシリーズでは先手中飛車の対策として、後手番で角道を通さない指し方で有名な右銀をぶつけていく戦い方を研究していこうと思います。

今回の記事は第一回目ですので、まず基本図までの組み方を見ていただければと思います。もちろんですがあくまで手順は一例で、基本図に合流することが目的であるため道中の手順を暗記する必要は全くありません。

初手からの手順

▲56歩△84歩▲76歩△85歩▲77角△62銀▲58飛△42玉▲48玉△74歩▲68銀(1図)

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先手が中飛車を宣言したのに対し、後手は飛車先を決めてから△74歩と突き、急戦を見せます。対して先手、今回のシリーズでは今最もよく指されている銀対抗の形を目指して銀の活用を急ぎます。もちろん変化の余地はあって、▲66歩型や美濃囲いにしない指し方も有力ですが、頻度としてはこちらの形に劣るため、こちらを本筋とさせていただきます。

1図からの手順

△73銀▲57銀△64銀▲66銀△32玉▲55歩△42銀▲38玉△14歩▲16歩△73桂(2図)

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後手の銀に合わせて先手も銀を活用します。17手目▲55歩はここまで来たら保留されることも多いかもしれませんが、結局どこかで突かれることが多い気がします。また、もっと早いタイミングで▲55歩を決められることも多く、後手が望めば先手中飛車では比較的本譜の形に誘導できることが多いと思います。なお、早いタイミングで無理やり先手が5筋を交換してくる形は先手の手損を生かして後手が銀を繰り出して攻めれる展開になりやすいため、後手ペースの展開であるように思います。

22手目△73桂はこの戦法の骨子ともいえる手で、後手にとって必須の一手です。

2図からの手順

▲28玉△52金右▲38銀△94歩▲96歩△65銀(基本1図)

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2図からはともに形を整え、後手か9筋の交換を入れていよいよ△65銀と仕掛けます。

9筋の交換は入るかどうか正直微妙なところですが、先手からすぐに指したい手が難しく、下手な手では仕掛けられたときにマイナスになってしまうので、この交換には応じられることが多いと思います。

もしも応じられなかった場合でも、その手次第では仕掛けられますし(この辺りは後々記事にしていく予定です)、また居飛車が先手番だった場合は一手得しているので1筋(9筋)の交換に応じられなくとも仕掛けることができます。ちなみに9筋の交換なくして△65銀と出ると、▲95角から二枚替えという習いある筋があり失敗します。(失敗図)

9筋の交換が入ればいよいよ仕掛け時なので満を持して△65銀とぶつけます。そしてこの局面を本シリーズの基本図とします。

基本図から考えられる先手の手は、頻度の高い順に

①▲同銀

②▲59角

③▲78金

④▲75歩

これくらいかと思います。今回の記事はここまでとして、それぞれ次回以降掘り下げてみましょう。

 

※執筆後、ほぼ同一の局面について研究されている先駆者様のブログを発見しました。しかし端歩の位置関係が異なることで成立する新たな筋が生まれ、結論に違いが生じているため、このシリーズの公開に踏み切ることにしました。