将棋研究 2六歩の足跡

対三間箱入り娘急戦 part2 36手目△45歩型②

前回に引き続いて後手から角交換していく形を調べます。まず、2図を再掲します。

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ここで前回は△44歩を見ていきました。今回調べていくのは△42飛車です。これも桂馬を狙う手で自然な活用です。この変化も頻出なので深く掘っていきましょう。

2図からの手順②

△42飛▲24飛△45銀▲21飛成△46銀▲同歩まで(4図)

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当然の▲24飛に△22歩は▲31角△43飛▲22角成が厳しいです。よって斬り合いになりますが、ここで先手は銀を46で取らせるのがポイントです。45で取らせると▲55桂の筋が消えるので損をすることになります。さて、4図まで来て後手は分岐します。

4図からの手順①

△41歩▲55桂△46飛車▲63桂成△同銀▲57銀(5図)

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まず△41歩ですが、これにはやはり▲55桂と打ちます。対して△62金引には▲43銀、△53金には▲31角がそれぞれ厳しいので△46飛車と走ります。金を取った後ですが後手からの△56桂などの筋を防いで図のように▲57銀と飛車を叱りつける一番勝ちやすいと思います。前に「龍に対しては受けを惜しまない」と書きましたがこういう感覚のことを意識しています。▲57銀に対しては▲27角などの筋もあり後手は竜の逃げ方が悩ましいです。

5図からの手順

△47飛車成▲48歩△42龍▲11龍△65桂▲58歩△57桂成▲同歩まで先手良し

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△47飛成に対して▲48歩と先手で硬くしていきます。△42龍で△45龍とするのは▲18角が厳しく先手優勢。本手順、△65桂に対して▲66銀だと△56桂でおかしくなります。▲58歩が優位を離さない手堅い順です。結果3図は後手がまとめるのが困難で先手良しでしょう。次に4図から単に△46飛を見ていきます。

  4図からの手順②

△46飛▲52銀△同金▲71角△92玉▲95歩(6図)

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△46飛に▲55桂は△62金と引き、▲63銀に△41歩と粘られると意外と難解です。△46飛にはいきなり▲52銀!が鋭い一着になります。以下は図まで一本道で6図になります。△同歩や△49飛成は流石に論外なので、受けの手として△82銀を調べていきます。ちなみに6図から△41歩は後に△82銀と合流するので省略します。

6図からの手順

△82銀▲94歩△41歩▲93歩成△同桂▲94歩△81玉(7図)

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△41歩に代えて△96歩は▲11龍くらいで得になっていません。よって△41歩ですが▲93歩成がさわやかな好手です。△同銀は普通にダメなので後手の対応は仕方ないですが▲94歩が厳しそうです。対して△81桂はお代わりが利くので無意味ですし、△71銀は▲93歩成〜▲92歩で寄りです。しかし後手も△81玉として粘り強く指します。

7図からの手順

▲82角成△同玉▲93歩成△同香▲同香成△同玉▲22竜△42香▲11竜まで先手良し(結果4図)

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先手は手が広いのですが後手は手が少なく、先手が望めば▲22竜まではこう進むところでしょう。▲22竜に対して後手は味のいい受け方がなく、例えば△42金は▲43歩、△42歩はやはり▲11竜がより厳しいです。そのため香を打つくらいですが、結果4図は後手玉が露出している一方で、先手は玉が固く攻め駒も十分で良いと思います。

  以上、後手角交換型(36手目△45歩型)の主要な変化を見ていきました。この形は先手が良くなりやすい割には頻出の変化なので、次回は補足としてこの形の珍しい手にも触れつつまとめも入れて対三間後手角交換(36手目△45歩)型を終わります。