将棋研究 2六歩の足跡

対三間箱入り娘急戦 part1 36手目△45歩型①

ここからは具体的な手順を挙げながら解説していきます。まず前回挙げた図を基本図としてそれまでの手順の一例を示しつつ再掲します。

▲26歩△34歩▲25歩△33角▲48銀(対振りを意識した手ですが相居飛車の角換わりも可能)△32飛▲36歩△42銀▲37銀△44歩▲46銀△43銀▲68玉△62玉▲78玉△72玉▲58金右△82玉▲56歩△72銀▲68金寄△94歩▲96歩△52金左▲76歩△54歩▲37桂△64歩▲55歩まで基本図

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(図は再掲基本図▲55歩まで)

基本図までの注意点といえば

①攻めの形を作ってから囲う

②△64歩のタイミングで仕掛けることを意識

の2点です。△64歩を保留して△14歩や△12香の場合▲77角と一手待ちましょう。

▲77角の後で△54歩に仕掛ける指し方について、△1二香型の場合は香を取る変化で香が取れないため、少し悪くなる変化があって、厳密には仕掛けられません。それでも実戦では影響しにくい変化になることが多いので、研究とは外れますが早指しなら仕掛けてしまってもいいのではないかと思います。仕掛けを嫌うならじっくり穴熊や銀冠を目指す将棋になります。また、△14歩型はほぼ無影響に近いので仕掛けて大丈夫です。

それは置いといて、今回は基本図以降の先手の成功例、攻めのパターンを見ていきましょう。

基本図からの手順

△63金▲54歩△同銀▲24歩△同歩▲35歩△45歩(1図)

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シンプルに後手は対応しつつ、5,2,3,の仕掛けに対し△45歩で反発してきました。前回の記事で述べた方針を貫きましょう。

1図からの手順

▲45桂△88角成▲同銀(2図)

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1図で▲33角成のように自ら交換してしまうと銀取りが残り、▲55角の筋もあって先手不利となります。この戦型において重要なことは、角交換は自分からではなく相手にさせるイメージで指しましょう。さて、2図で後手の手が分岐します。今回は桂を歩で狙う自然な△44歩を見ていきましょう。

 2図からの手順①

△44歩▲24飛△22歩▲41角△62飛▲63角成△同飛(3図)

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▲24飛に対して△45歩は▲21飛成が32の飛車にあたり、先手大優勢。△22歩は仕方のないところですが▲41角〜▲63角成が強手。3図は突破に成功し、さらに図から先手は二つの指し方がありそうですが...

  3図からの手順①

▲22飛成△45歩▲57銀△55角まで先手ペースながら難解(結果1図)

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3図以下▲22飛成は自然ですが次善の策で、結果1図まで進むと戦力が少なく難しい勝負です。戻って3図ではもっと良くできる変化があるので覚えておきましょう。

  3図からの手順②

▲53金△45歩▲54金△23飛車▲同飛車成△同歩▲57銀まで先手優勢(結果2図)

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▲53金〜▲54金と飛車ではなく銀を狙うのが手厚い指し回しです。銀取りにも冷静に引いておいた結果図は後手に飛車を捌かれるのは不満なようでも、結果2図は玉が相手より遥かに硬く、駒も捌けて持ち歩でも勝る先手が見た目以上に優勢です(微差とソフトが判断することがあるものの、手を進めていけば差が広がります)。

 

以上、先手の2図から△44歩の成功例を見てきました。次回は2図から後手の分岐を調べていきます。

(追記:一部文章の修正と、△12香型についての記述を変更しました。)