将棋研究 2六歩の足跡

△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part1

このシリーズは流行の△54銀型(63銀型)雁木に対する左美濃急戦をやっていこうと思います。とはいえ一口に△54銀型雁木といっても様々あるので、何回かごとに基本図を変えながら、潰し方を調べていきたいと思います。それでは早速行きましょう。今回の基本図です。

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後手が△74歩型を保留して△54銀を急いできた局面です。さて、ここでこの形の特徴を初めに列挙しておきます。これらを満たしていれば類似局面として同様の仕掛けが成立すると思われるため、同一局面でなくても応用が利き、一つの局面の仕掛けを覚えるだけであらゆる仕掛けに対応できるようになるのです。

この局面の特徴(これを満たせば類似局面)

1 お互いに腰掛け銀の形

2 1筋の交換がある

3 後手玉が4一の地点

以上が着目すべき特徴となります。後手の右桂の形は気になるところかと思いますが、右桂の活用が先手の仕掛けを妨げる一因となるケースは意外にも少ないのであまり問題とはなりません。ではそろそろこの基本1図から仕掛けていきましょう。

基本1図から

▲45歩△同歩▲33角成△同桂▲77角(1図)

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▲45歩から仕掛けて、悠然と角を据えるのがこの局面の急所です。手慣れた方はおなじみの筋かと思いますが、とにかくこの形は幅広く使える仕掛けなので覚えておきましょう。ちなみに▲45歩に対して△31玉と寄っておくのも有力で、part4で紹介する変化に合流するのでそちらを参考にしていただければと思います。

また、手順中変化として、▲33角成に△同金という手があります。対して▲22角△44角に▲77銀などでは△32金とされてしまいます。よって△44角には▲11角成△99角成▲45桂△同銀▲同銀△86歩(ちなみにここで△44歩は▲88銀~▲24歩、△55馬は▲48飛△46香▲47歩で大丈夫。どちらも+1000ほど良い)▲同歩△同飛▲87歩△76飛▲77歩△96飛▲24歩△同歩▲44香まで(変化1図)進めると先手がやはり900~1000ほど優勢なようです。

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よって、▲33角成には△同桂と取るよりありません。

1図からの手順①

△46歩▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛△44角▲同角△同銀▲77角△43金右▲45歩まで先手優勢(結果1図)

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△46歩は角換わりなどでよく見かける筋ですこの場合はあまり効果を成しません。結果1図まではほぼ一本道で、図は先手の攻めが炸裂しています。途中△44角で△47歩成~△44歩も▲45歩~▲44歩でこじ開ける手が厳しいです。よって1図で△46歩はありません。

1図からの手順②

△44角▲同角△同銀▲15歩△同歩▲24歩△同歩▲15香(2図)

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△44角は後の▲44歩を防ぎにいった自然な手で手元のソフトは最善を示します。対して先手は端から手を作ります。ちなみに端の交換が入っていない場合、飛車で34の横歩を取りに行き、▲35歩で飛車を支えつつ▲77角を狙う筋があります。この手順も重要な筋でどこかでまた触れることになると思います。

2図からの手順

△12歩▲24飛△23歩▲26飛△43金右▲77角まで先手十分(結果2図)

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2図から△同香は▲24飛〜▲14飛が厳しいですし、△13歩は▲同香△同香▲14歩△同香▲24飛があります。また、ここで△17角は▲24飛△23歩▲34飛△43銀▲35歩進めば打った角が空振りになり、後手が忙しく先手有利です。

よって悔しいですが△12歩と打つしかありません。▲26飛では▲34飛も有力なところですが、そこまでしなくても伸び伸びと二歩を手にして十分です。後手は44の銀が浮いているため△43金右とするくらいですがそれでも▲77角が▲46歩〜▲45歩のこじ開けを狙って厳しそうで、結果2図は満足のいく展開でしょう。

次回は1図から捻った手を紹介しつつ、この形のまとめをする予定です。