将棋研究 2六歩の足跡

角換わり腰掛け銀vs早繰り銀 研究最前線 part1

角換わりといえば、早繰り銀、棒銀、腰掛け銀の3すくみの関係が有名ですが、最近は腰掛け銀に対しても早繰り銀を用いる居飛車党も増えたように感じます。そこで今回から始まるシリーズは「腰掛け銀vs早繰り銀」という関係に着目して研究を行っていきたいと思います。

まず初めに今回の基本図を提示します。

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この局面は後手から早繰り銀の△75歩の仕掛けに対し、先手が▲65歩と反発した形です。この形は定跡書などで習いある形ですが意外と変化は多く、難しい形です。しかしそれだけに知っておけば即戦力となる激しい変化でもあるため、これで先手良しになれば図の後手からの仕掛けに対して結論が出せるという点で重要な局面だといえます。では検討していきましょう。

基本1図からの手順

△76歩▲64歩△77歩成▲63歩成△78と▲64角(1図)f:id:shogi_vinegar:20180824231520j:plain

後手は△73銀と引くようでは話になりません。対する先手は△76歩に▲同銀と打つ変化も有力ですが、ここは強くいきます。先手も後手も一歩も引かずに戦うなら1図までは一直線でしょう。

1図からの手順①

△92飛▲53角成△41玉▲62歩△62銀▲64馬(2図)

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▲64角に対して後手の応手が分かれます。まずは自然な△92飛から調べていきます。

先手は当然の角成から▲62歩とします。対して△51金は即詰みなので△42銀を入れます。この辺はお互い変化の余地が難しいところです。

2図からの手順①

△68銀▲48玉△51金▲83銀△66角▲92銀まで先手優勢(結果1図)

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2図から単に△51金では▲78飛と味良くと金を払われてしまいます。そこで王手を決めてから払う手がありそうです。

しかし▲83銀から先手は飛車をとるのが速い攻めになります。結果1図から後手の攻めは先手玉が広く、あまり痛くはありません。対して先手からは▲52歩が▲51歩成△31玉▲42馬以下の詰めろで厳しく、結果1図は先手優勢といえます。

戻って2図からは△62金と取るよりありません

2図からの手順②

△62金▲同と△同飛▲63金△92飛▲78飛△51歩▲83銀△62歩▲92銀成△63歩▲同馬△52銀▲81馬△92香▲同馬△66銀▲48玉△28角▲67歩まで先手良し(結果2図)

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△62金と取ってくる手には清算して▲63金と打ち込みます。対して△53金とする手もありますが飛車をとって▲61飛くらいで先手良しですから、△92飛の方が勝ります。先手は飛車を取りにいき、後手は5筋に壁を作ります。ちなみに先手は△26角の筋もあってなかなか78の飛車を成ることができませんので気を付けましょう。

▲81馬あたりからはともに分岐が多く、図の手順はソフトの示す一例のようなものですが、桂香を拾いつつ玉を右へと持っていくイメージで指せば先手良しになります。

以上、1図から△92飛の変化を見てきました。次回は△73歩の変化を深く調べていこうと思います。