将棋研究 2六歩の足跡

角換わり腰掛け銀vs早繰り銀 研究最前線 part3

シリーズ3パート目となりました今回は3図からのもう一つの後手の変化を潰していこうと思います。まず、3図を再掲します。

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復習も兼ねてまとめると基本1図からの殴り合い、▲64角に△92飛(part1)は後手ダメで、より優る△73歩の対応で3図へ進み、△42銀(part2)は先手良しの変化だったので、3図からは銀を手放す△42銀打、△52銀が本命になってきます。

なお、前回△42銀打と△52銀は3つの手段のうちの一つとして区別して書いていますが実際はすぐに同一の局面に合流するので、同じものと考えていただいて構いません。本記事でも同じものとして(△42銀打の変化をメインとして52は括弧書きで)書いていきます。

 3図からの手順②

△42(52)銀打▲61歩成△53銀▲同と(6図)

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後手は△42(52)銀と手厚く銀を投入して受けるしかなく、図までは一本道です。この時、6図(上左)と前回記事に出てきた4図(上右)との違いに注目してください。後手の33の銀があるとないとの違いで先手からの2筋攻めの耐久力が大きく変わってきます。そのため、6図の形では前回現れた継ぎ歩の筋はできません。

6図からの手順①

△31玉▲24歩△同歩▲23歩△同金▲43と(7図)

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まず、6図から定番の△31玉を調べていきます。先手はとりあえず一本突き捨てます。対して△同銀は▲51と~▲52とが詰めろで入るので先手優勢です。(右上変化3図)

▲24歩に△15角もやりすぎなので△同歩の一手ですが、▲23歩で利かしです。

ちなみに▲23歩は手抜きたいところですが手段が難しく、△75角は▲51と~▲43とが速く、△76角は▲78飛、また、やってくる人はいないかと思われる△55歩という利かしをソフトが推奨することもありますが、これも手抜いて攻め合えば問題ありません。

▲23歩を利かした先手は好調な手順が続きます。

7図からの手順①

△76角▲42銀△同飛▲同と△同銀▲78飛△87角成▲28飛△75角▲58金打△66金▲76歩まで先手優勢(結果5図)

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7図、▲43とに対して△75角は▲78飛で大したことがありません。△76角と43に利かせるのが最善です。先手も注意すべきは32ではなく42で清算することで、▲42銀に△同銀は一手詰みで論外ですし、△22玉も▲32金から寄り筋です。62での清算後は先手はと金を払い、手堅く指します。

▲28飛以降は後手の手が広い局面ですが、先手の方針としてはとにかく手堅く、手堅く指すのがコツで、飛車下ろしからの桂香確保やと金よりを間に合わせれば、はっきり先手の良い局面です。

▲28飛からの攻め筋として何個か例として挙げておくと、頻出の①△75角から△66金に対しては▲76歩がぴったりなので頭に入れておきましょう(結果5図)。他にも②△75角~△66銀には▲48玉、△75角に代えて単に③△66銀と先に打ってこられた場合は、▲58銀(金ではない理由は結果5図のように進んだときに後手の持ち駒に金があるので△57銀成~△69金とできるため)、単に④△66金は受けにくいのですが▲51とと攻め合えば指せる、というくらいに4種類の攻めの対応を見につけておけば十分問題ありません。

6図からの手順②

△75角▲22銀△53角▲21銀成△75角▲48玉△66金▲38玉まで先手優勢(結果6図)

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最後に 6図からの他の手を見ていきましょう。といっても実は有力なのはあまりなく、△76角なんかは▲24歩~▲78飛で大したことはありません。

△75角が普通ですが、▲22銀が厳しい一着です。これは何で取っても▲52銀から寄り筋なので△53角としますが▲21銀成が詰めろです。詰めろを解除する△75角の一手には冷静に△48玉として先手玉には怖いところがありません。△66金は一例ですがヒラリと▲38玉で十分です。結果図以降は後手の攻めをうまくいなすイメージで指しつつ▲71銀~▲62銀成のような確実な攻めを狙っていけば勝てる将棋です。

以上で基本1図からの変化を全て紹介することができました。いずれも先手良し以上になり、▲65歩が成立することを定跡本よりも決定的に結論づけられたかと思います。次回からはもう少し進んだ駒組での早繰り銀に入っていきたいところですが、もう少し類似系(△94歩、△51玉型)での変化を紹介したり腰掛け銀後手番の形について触れつつ、結論付けたいと思います。