将棋研究 2六歩の足跡

△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part7

13図を再掲します。

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前回は13図から①△43銀引を見てきました。いずれも先手が十分に戦える変化だったと思います。今回は②△43金右の変化を調べていこうと思います。

13図からの手順②

△43金右▲35歩(15図)

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先手は△43金右にも構わず▲35歩と歩を伸ばします。代えて▲44飛~▲71角は△52飛▲61銀△42飛と進み微妙です。

15図からはこれまた分岐するので全て調べましょう。

15図からの手順①

△34金▲同歩△86歩▲同歩△29飛▲77角まで先手勝勢(結果17図)

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△34金と単に飛車を取るのはやはりダメで、▲77角がわかっていても鬼のように厳しく、支えきれません。結果17図は先手の攻めが止まらない局面で、先手勝勢です。

15図からの手順②

△46角▲47金△35角▲同飛△同銀▲34歩△86歩▲同歩△34金 ▲71角△52飛▲61角まで先手優勢(結果18図)

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35と37を狙う△46角に対して、前回の形では▲26角と対応しましたが今回はもっと得をできます。▲47金から飛車と角を刺し違えた後に▲71角~▲61角が厳しいです。61の駒が銀ならば△42飛として▲53角成もあまり怖くはないのですが、今回は61の角が34の金を睨んでいることに注目してください。

結果18図以下は後手も飛車を逃げずに手持ちの飛車を下ろして攻めつつ、玉は上部で粘りに行く展開が予想されますが、▲36歩が利くこともあって後手玉の上部はそこまで広くないので大丈夫でしょう。

15図からの手順③

△26角▲66角(16図)

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▲35歩にはやはり△26角が一番の強敵です。これは受けにくいので、前回の記事同様に▲66角と攻め合いを趣向します。ここで分岐します。

16図からの手順①

△35角▲同飛△同銀▲45桂△44歩▲33桂成△同金上▲45歩△同歩▲同銀まで先手優勢(結果19図)

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まず、根本の歩を角で払う△35角は飛車で食いちぎってから▲45桂と跳ねます。対して△同桂は▲同銀で▲63角の筋を含みにガンガン迫ることができます。後手は△44歩から局面を収めに頑張りますが、▲45歩から攻めが続きます。先手は3筋4筋に歩が利く上、角のにらみも厳しくどう応じても後手は支えきれません。仕方のない△45同歩にも▲同銀として攻めが止まらず結果19図は先手+1200程の優勢です。

16図からの手順②

△37角成▲44飛△同金▲同角△86歩▲同歩△43金▲77角まで先手優勢(結果20図)

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前回後手の手段として最有力だった△37角成には今回は▲44飛と飛車から切ります。代えて▲44角は取ってもらえず飛車角が負担になります。▲44飛以降は角を引いておいて結果20図は△75歩や△87歩の嫌味があるものの、それ以上に▲44歩~▲34歩が厳しく先手優勢です。後手は前回記事の変化に比べて52の金が54の銀になっていてあまり働いていないのが泣き所です。 

16図からの手順③

△35銀▲27歩(17図)

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△35銀は△43金右の形を生かした手で前回の▲43銀型だと▲64飛があるため△35銀とはできません。

△35銀には▲27歩と受けるのが覚えておくべきぴったりの好手で、後手からは以下△34金と△37角成に分岐します。

17図以下の手順①

△34金▲26歩△86歩▲同歩△87歩▲同銀△49飛▲25桂△同桂▲11角成△37桂成▲68金右まで先手よし(結果21図)

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まず、飛車を取る△34金からみていきます。これには飛車角交換をして▲25桂とさばいていくのが急所です。ちなみに道中8筋の交換&垂らしがありますが、これはいつか入りそうなものですがなくてもあまり変わりません。また、飛車の下ろす位置についてですが、39は▲25桂~▲28角があるので先手優勢、29と49はあまり変わらないのでどちらでも本譜が使えると思っていただければ十分です。

▲25桂以下は馬を作りつつ玉型を固めて先手良しです。結果21図以下は▲71角や▲55香の要領で攻めていけばリードを拡大できると思います。

 17図以下の手順②

△37角成▲35飛△46馬▲44銀まで先手ペース(結果22図)

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△37角成に対しては素直に銀を取ります。ここで△19馬のような手では▲34歩が厳しく将棋が終わるので△46馬と当てて受ける一手ですがこれには▲44銀と打つのが飛車に紐をつけつつ攻めを継続するピッタリの一打で先手ペースの将棋です。

結果22図以降は手が広いですが、△35馬では先手の攻めが切れなくなりますし、△同金▲同角△43金も▲33飛成で先手必勝です。結果22図からは△65歩▲77角△66桂が面白い手ですが以下▲43銀成△同金▲39飛△58桂成▲同金△38歩▲同飛△37銀▲34歩△同金▲35歩(変化3図)が一例で先手の攻めが続き、勝ちやすいと思います。

 

今回は13図から②△43金右をみてきました。これもまた先手が十分以上に戦えることが分かったかと思います。この変化を解説するだけで本記事は2100字以上、図面11枚という長編になってしまうほどに網羅するには膨大な変化でした。次回は13図から③△26角について解説し、13図以降の変化に完全に結論を出したいと思います。