将棋研究 2六歩の足跡

△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part6

 このシリーズは6回目の記事となり、主要な局面はあらかた触れてきたかと思います。

 そこで今回からは頻出とまではいえないにしろ、知っておくべき重要な局面について調べていきましょう。

まず、この記事では先手の端歩の交換が入らなかった基本3図をテーマ図とします。

f:id:shogi_vinegar:20180913191738j:plain

 図は▲16歩に応じず、△74歩の一手を入れられたところです。実際端歩の交換をしない方が先手の攻めが決まりにくいため嫌な変化で、焦るところかもしれません。

 とはいえ先手の攻めが全く決まらないかといえばそんなこともありません。というわけで基本3図からの攻め方を学んでおきましょう。

基本3図からの手順

△同歩▲33角成△同桂▲77角(12図)

f:id:shogi_vinegar:20180914001616j:plain

 基本3図からはおなじみの手順で攻めていきます。12図までは当然の進行で、12図から今までと違った形を生かした分岐があります。しかしpart6〜8は頻出である今まで通りの手順で進むと端の交換がない形でどうなるのか?を調べていきます。

12図からの手順①

△44角▲同角△同銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛(13図)

f:id:shogi_vinegar:20180914002245j:plain

 12図からの手順で、今までと違い、端歩の交換がないので▲15歩とは突けません。そこで飛車で横歩を取りに行きます。飛車が狭いですが大丈夫なのでしょうか。

 後手の次の手は①△43銀引②△43金右③△26角に分岐します。(△86歩はいつでも入る歩で入れることの損得が難しいので除外します)

13図からの手順①

△43銀引▲35歩(14図)

f:id:shogi_vinegar:20180914003115j:plain

①△43銀右には▲35歩と紐をつけるのが重要な手です。14図からもいくつか分岐があるので丁寧に調べましょう。

14図からの手順①

△34銀▲同歩△39飛▲33歩成△同銀▲45桂△86歩▲同歩△87歩▲77銀打△75歩▲28角△29飛成▲64角まで先手優勢(結果14図)

f:id:shogi_vinegar:20180914004046j:plain

 14図から飛車を取るのは先手の攻めが続きます。後手は33の桂が助からないので△39飛(桂馬にあてない△49飛や△29飛は▲66角が激痛)と攻め合いに活路を求めます。

 しかし気持ちよく桂を跳ねて十分で、後手の嫌みな歩の垂らしにも▲77銀打とがっちり受けておけば大丈夫です。ゆっくりしていれば歩も十分な先手は33を狙いにいけば厳しい攻めになるので、後手は△75歩と攻めを継続しにいきますが、▲28角!が覚えておくべき角で結果14図は攻防共に先手有望で優勢です。

14図からの手順②

△46角▲26角△36歩▲44飛△同銀▲34歩△35銀▲47歩まで先手良し(結果15図)

f:id:shogi_vinegar:20180914013244j:plain

 ②△46角と35,37の両狙いをするのは▲26角がぴったりです。以下、△36歩に飛車を切り飛ばし、△同銀▲34歩△35銀に▲47歩が冷静な一着です。

 結果15図以下、①△26銀は▲46歩ではなく、▲45桂△同桂(△24角は▲33歩成から攻めが続く)▲46歩で急所に拠点を残した先手が十分で、②△37歩成は一回▲15角と覗いていおけば、後手はやることが多く、忙しい局面です。③△37角成は▲35角と銀の方を取って、先手1000点以上の+となります。

14図からの手順③

△26角▲66角△37角成▲44角△同銀▲同飛△43金右▲同飛成△同金▲34金△42金▲63銀△84桂▲44歩まで難解ながら先手有望(結果16図)

f:id:shogi_vinegar:20180914020018j:plain

 14図から③△26角が最善の手段です。対して35と37をいっぺんに受けるすべがないので▲66角と攻め合います。△35角は▲同飛から▲55角や▲44歩~▲34歩がうるさいので、▲66角には△37角成ですが、先手は飛車も角もぶった切ってからみつきます。

 結果16図はお互い怖いところで難解ですが、次の▲43歩成が受けにくく、先手有望の終盤だと思います。(+300前後)

 さて、今まで見てきたように13図から△43銀引は先手がよくなりそうでした。

 今回は長くなったので一旦ここで切って、次回は13図で△43金右、△26角の変化を検討します。