威力抜群!対先手中飛車居合い抜き超速△65銀ぶつけ part3
今回は前回の続きとして下3図から②▲59角と引く手を調べたいと思います。
3図からの手順②
▲59角△86歩▲同歩△13角(7図)
▲59角と遠くまで引く手の狙いはどこかで△57銀に▲88飛や▲78飛を用意していることです。後手は▲59角にも△86歩と突き捨てますが、先手はここは▲同歩とします。(▲同角は前回のpart2の記事の変化に合流し、後手優勢だったので省略、▲54歩は今回は▲46角の狙いがないので大したことがなく、△87歩成で先手必敗)
そして▲同歩には今回は△13角と出て、先手の手が分岐します。
7図からの手順①
▲66銀△57銀▲65銀△58銀成▲同金右△87飛▲78銀△88飛成▲77角△79角成▲88角△同竜(8図)
7図からやはり自然な▲66銀にも当然△57銀と打ち込みます。清算はさすがにまずいので、今回も▲65銀の一手に、飛車を取り、打ち込みを減らす▲同金右にも△87飛と打ちます。桂香を取らせるわけにもいかないので▲78銀~▲77角としますが△79角成があります。対して▲同金△同竜▲68金と竜を召し取りにいく手には△48金が銀を入手しての△39銀を狙って厳しいので、△79角成には▲88角ですが△同馬と取って8図です。
8図からの手順①
▲77桂△86飛▲87歩△81飛まで後手良し(結果6図)
△55馬を喫しては先手まずいので▲77桂が自然です。後手は△86飛と走りつつも▲87歩には△81飛とにげておいてこれを結果図とします。後手からは次に香を馬で回収しつつ△86歩合わせから飛車の成り込みを狙えますし、先手は歩切れで手を作りにくいので後手十分の局面だと言えます。
8図からの手順②
▲15歩△同歩▲同香△12歩▲同香成△同香▲13歩△同桂▲11飛△31金▲12飛成△22金▲11竜△21金▲13竜△11香まで後手優勢(結果7図)
8図からもっと過激にくる順を調べてみましょう。先手は▲15歩と攻めます。△同歩に▲13歩はその瞬間△86飛と走られて打つ歩がなく、▲15香には△78馬~△89飛成が激痛です。よって△同歩には▲同香ですが、△12歩と下から受けるのが冷静です。以下強引に攻めるなら▲同香成~▲13歩ですがこれも△同桂で問題ありません。△同桂に対して▲14歩なら△11香と打つのがぴったりの受けで▲13歩成△同香と進むと先手は1筋が受けにくいです。(▲12歩~▲11飛も△21角で大丈夫)
よって△同桂には▲11飛と打つのですが、△21角ではなく△31金が読みの入った受けで、先手竜が捕まってしまい、結果7図まで進んで後手優勢です。
7図からの手順②
▲15歩△57桂不成▲14歩△35角▲36歩△69桂成▲35歩△59成桂▲同飛△86飛まで後手優勢(結果8図)
7図からの形でも▲15歩は少し気になりますがこの場合は△57角成ではなく△57桂不成とします。▲14歩には一旦△35角と逃げておけば問題ありません。先手は両取りを受ける手段もないので角を狙いますが進んで結果8図は後手が駒得の上駒がさばけていて後手優勢です。
以上、3図から②▲59角の変化を調べてきました。これも後手が良さそうなので、前回の記事と合わせて基本1図で△65銀に▲同銀とする変化は大方網羅し、どれも後手が良いことが証明できたのではないかと思います。
次回以降は基本1図で▲同銀以外の応手を調べたいと思います。
威力抜群!対先手中飛車居合い抜き超速△65銀ぶつけ part2
前回の記事の基本1図からの指し手について、今回は最も頻出の①▲同銀を調べていきます。
基本1図からの手順①
▲同銀△同桂(3図)
基本1図から▲同銀は最も普通の手で実際8割くらいはこう進むところだと思います。後手も当然△同桂と取る一手で3図から角の逃げ場所が①▲68角、②▲59角の二通りに分岐します。ちなみに▲66角は当然の△86歩が厳しく既に後手優勢です。
3図からの手順①
▲68角△86歩(4図)
変化が多岐にわたるので、細かく図を使って解説します。
▲68角には△86歩が呼吸です。ここから、これに対応する手として①▲同歩②▲同角③▲54歩が有力です。④▲46角も気になるところですが、△45銀と打っておいて▲54歩には△46銀と角をとれますし、角を逃げれば△87歩成が確実なので問題ありません。
4図からの手順①
▲同歩△57銀▲同角△同桂成▲同飛△86歩▲79金△13角▲46銀△87飛成▲54歩△76竜▲77歩△86竜▲53歩成△同銀まで後手優勢(結果1図)
4図から①▲同歩には57の地点に銀をぶち込みます。▲同飛とする人はさすがにいないでしょうから(先手の攻撃力がなくなり竜を作った後手が当然優勢になる)、▲同角の一手ですが飛車を走って竜ができる形になりました。
後手は△13角のにらみで銀を使わせてから竜を作って、△76竜とします。対して▲77銀は勝負どころがなくなるので、歩で受けますが竜を6段目に置くのが急所で、先手の中央攻めは怖くありません。
結果1図以下は、▲54歩には△56歩があり、取り合うしかありませんが、52の金を取らせてから手を戻せば後手必勝です。また、結果1図で一回▲59飛と先受けするのも△57歩と垂らしが好手で▲同飛には△56歩~△57角とゴリゴリ攻めて後手勝勢です。
4図からの手順②
▲同角△13角(5図)
4図から②▲同角には△13角と切り札を使用します。この局面ですでに評価値的には後手優勢ですが、変化がいろいろあるのでさらに掘り下げます。
5図からの手順①
▲66銀△57銀▲65銀△58銀成▲同金右△88飛▲78銀△86飛▲同歩△57角まで後手優勢(結果2図)
5図から57の地点を銀で受けつつ桂を狙う▲66銀は自然でそれでも後手は57に銀をぶちこんで、飛車を奪いに行きます。(5図から▲46銀は桂をとれない分▲66銀に劣るので割愛)
△57銀に飛車を逃げれば△66銀~△57桂不成があるので飛車を見捨てて桂を取るよりありませんが、後手は△58銀成で飛車を取ります。対して▲同金左は△88飛と打ち込まれてしまうので▲同金右ですが、これでも△88飛がありました。そこから結果2図までは先手は必然の進行で、△57角打!が打ちづらい好手です。結果図から▲15歩なら△78飛成~△39銀がありますし、▲81飛と角を無視すれば、重そうな△79角成が意外に受けづらく後手勝勢です。
5図からの手順②
▲15歩△57角成▲14歩△67馬▲13歩成△同桂▲12歩△同香▲14歩△18歩▲同香△17歩▲同香△25桂▲16香△17歩まで先手必勝(結果3図)
人間的には△13角の瞬間▲15歩と突く手が気になるかもしれません。しかしあわてず騒がず△57角成~△67馬で次の△57桂不成(成どちらでも)をみせて焦らせるのが巧い順で、先手の端攻めは見た目ほど厳しくないので困っています。△67馬には▲78銀がソフト最善の粘りですがじり貧で先手つらいですし、仕方なく端をいじるくらいですが歩の連打から桂はねがぴったりです。手順は省略しますが、結果図までの途中の歩のたたきに無視するのはもっとひどい目に合うので、結果図まで進むしかありませんが△17歩が次の△19銀をみた好手の垂らしで評価値2000点程の後手必勝です。
4図からの手順③
▲54歩△87歩成▲46角△85飛
4図に戻って△86歩に手抜いて③▲54歩~▲46角とするのも有力です。後手は△85飛と大人しく当てられにくい場所に逃げておきます。ここで先手の手が分岐します。
6図からの手順①
▲91角成△54歩▲同飛△78と▲58金右△89飛成まで後手勝勢(結果4図)
シンプルな▲91角成には△54歩と手を戻すのが落ち着いた対応です。これで先手に指したい手がありません。自然な▲同飛なんでもないので△78とから飛車を成り込んだ後手が当然勝勢です。結果4図以下、先手は馬が使いにくいので▲46馬と引き付けたいところですが、それには△13角がぴったりです。
6図からの手順②
▲53歩成△同銀▲54歩△44銀▲53銀△57歩▲52銀成△同金▲59飛△13角まで後手優勢(結果5図)
6図から▲53歩成~▲54歩も自然です。対して後手は銀を逃げますが、▲53銀と打ち込みます。しかし後手は5筋に歩が利くようになっているので△57歩があります。(なお、▲54歩や▲53銀成に代えてのタイミングで▲91角成は△57歩と抑えてから△13角などの活用があります)
△57歩に▲52銀成を入れてから▲59飛と逃げますが、△13角がやはり味のいい活用です。結果5図以下▲同角成は△同香でさっぱりしてしまい、飛車先の破れている後手が優勢です。また、▲91角成はこの瞬間が甘く、△78と▲同金△58銀▲88香△59銀成▲同金△58歩成▲同金△57桂成▲59金△48銀▲85香△59銀成▲92飛△51歩(変化1図)が一例で、後手勝勢です。道中変化の余地もありますが、ゴリゴリ押していけば1手差以上の勝ち筋だと思います。
以上、4図から①▲同歩②▲同角③▲54歩とみてきましたがいずれも後手が優勢になることが分かりました。次回は戻って3図から▲59角と逃げる手を検討します。
威力抜群!対先手中飛車居合い抜き超速△65銀ぶつけ part1
今回から始まるこのシリーズでは先手中飛車の対策として、後手番で角道を通さない指し方で有名な右銀をぶつけていく戦い方を研究していこうと思います。
今回の記事は第一回目ですので、まず基本図までの組み方を見ていただければと思います。もちろんですがあくまで手順は一例で、基本図に合流することが目的であるため道中の手順を暗記する必要は全くありません。
初手からの手順
▲56歩△84歩▲76歩△85歩▲77角△62銀▲58飛△42玉▲48玉△74歩▲68銀(1図)
先手が中飛車を宣言したのに対し、後手は飛車先を決めてから△74歩と突き、急戦を見せます。対して先手、今回のシリーズでは今最もよく指されている銀対抗の形を目指して銀の活用を急ぎます。もちろん変化の余地はあって、▲66歩型や美濃囲いにしない指し方も有力ですが、頻度としてはこちらの形に劣るため、こちらを本筋とさせていただきます。
1図からの手順
△73銀▲57銀△64銀▲66銀△32玉▲55歩△42銀▲38玉△14歩▲16歩△73桂(2図)
後手の銀に合わせて先手も銀を活用します。17手目▲55歩はここまで来たら保留されることも多いかもしれませんが、結局どこかで突かれることが多い気がします。また、もっと早いタイミングで▲55歩を決められることも多く、後手が望めば先手中飛車では比較的本譜の形に誘導できることが多いと思います。なお、早いタイミングで無理やり先手が5筋を交換してくる形は先手の手損を生かして後手が銀を繰り出して攻めれる展開になりやすいため、後手ペースの展開であるように思います。
22手目△73桂はこの戦法の骨子ともいえる手で、後手にとって必須の一手です。
2図からの手順
▲28玉△52金右▲38銀△94歩▲96歩△65銀(基本1図)
2図からはともに形を整え、後手か9筋の交換を入れていよいよ△65銀と仕掛けます。
9筋の交換は入るかどうか正直微妙なところですが、先手からすぐに指したい手が難しく、下手な手では仕掛けられたときにマイナスになってしまうので、この交換には応じられることが多いと思います。
もしも応じられなかった場合でも、その手次第では仕掛けられますし(この辺りは後々記事にしていく予定です)、また居飛車が先手番だった場合は一手得しているので1筋(9筋)の交換に応じられなくとも仕掛けることができます。ちなみに9筋の交換なくして△65銀と出ると、▲95角から二枚替えという習いある筋があり失敗します。(失敗図)
9筋の交換が入ればいよいよ仕掛け時なので満を持して△65銀とぶつけます。そしてこの局面を本シリーズの基本図とします。
基本図から考えられる先手の手は、頻度の高い順に
①▲同銀
②▲59角
③▲78金
④▲75歩
これくらいかと思います。今回の記事はここまでとして、それぞれ次回以降掘り下げてみましょう。
※執筆後、ほぼ同一の局面について研究されている先駆者様のブログを発見しました。しかし端歩の位置関係が異なることで成立する新たな筋が生まれ、結論に違いが生じているため、このシリーズの公開に踏み切ることにしました。
△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part8
13図を再掲します。
今回は13図から③△26角を調べていきます。
13図からの手順③
△26角▲27歩(18図)
ここでの△26角にはいつもの▲35歩は突かず、前回記事の△35銀の変化のように、ここでの△26角にも▲27歩と打つのが手筋です。
18図以下いろいろな手があるので軽く触れていきましょう。
18図以下の手順①
△37角成▲44飛△43銀▲同飛成△同金左▲61銀まで先手優勢(結果23図)
まず、18図から△37角成ですが、素直に▲44飛と取って大丈夫です。43に何を動かすかですが、①△43金右はこの瞬間▲71角が厳しく先手勝勢、②△43金左も▲54飛に△同歩が利かず(△同歩には▲44歩がきつい)、△同金とするようでは▲61角くらいでやはり先手勝勢です。よって③△43銀が最善ですが▲同飛成に△同金左(右はやはり▲44歩が痛い)▲61銀!が気付きにくい好手で金をどこに逃げても角や銀が痛いため先手優勢になります。
18図以下の手順②
△43銀▲26歩△34銀▲66角△43銀▲55銀△同銀▲同角まで先手優勢(結果24図)
△43銀には角を取って66に設置します。ちなみに△43銀に▲33飛成は取ってもらえず△37角成とされて先手大変です。
▲66角に対して△43金右は▲63角、△43金左は▲77角打が受けにくく厳しいです。よってもう一度43に銀を引きますが、▲55銀とぶつけて角を好位置に活用した結果24図は見た目以上に差がついており、先手優勢です。(+800前後)
例えば結果24図からは▲44歩、▲64角、▲25桂といった豊富な攻め筋があり、後手陣はすでに収拾困難です。
18図以下の手順③
△43金右▲26歩△34金▲61角△43銀▲63角まで先手勝勢(結果25図)
前変化△43銀に代えて△43金右は▲26歩から▲61角が厳しいです。金を受ける手段は△43銀くらいですが▲63角で先手勝勢です。以下△31玉には▲74角成よりも▲72角成引が厳しく、飛車を取りに行ってから飛車を下ろしておけば後手玉は上部が厚みというよりも壁でひどい形なので必勝の形勢です。
18図以下の手順④
△43金左▲33飛成△同金▲26歩まで先手必勝(結果26図)
18図から△43金左の手にはこの形で唯一▲33飛成が利きます。ここで無視して△37角成は▲22竜くらいでダメなので△同金ですが、手を戻しておけば先手必勝です。(+2000前後)
結果26図以下は▲22角や▲45桂など何を指しても厳しい上駒得もしていて自陣に脅威が及ばないので相当負けない形です。
また、13図以下の他の手順にも軽く触れておくと、④△55銀のぶつけには▲同銀△同銀▲77角が厳しく、⑤△43金左は▲44飛△同金▲22角でいずれも簡単に先手優勢になります。
以上、part6〜8まで3回に分けて13図以降の局面を調べてきました。しかしどの変化も先手がやれると結論付けることができました。
そこで後手も12図の時点で工夫が求められるので、次回は戻って12図からの変化に目を向けていこうと思います。
△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part7
13図を再掲します。
前回は13図から①△43銀引を見てきました。いずれも先手が十分に戦える変化だったと思います。今回は②△43金右の変化を調べていこうと思います。
13図からの手順②
△43金右▲35歩(15図)
先手は△43金右にも構わず▲35歩と歩を伸ばします。代えて▲44飛~▲71角は△52飛▲61銀△42飛と進み微妙です。
15図からはこれまた分岐するので全て調べましょう。
15図からの手順①
△34金▲同歩△86歩▲同歩△29飛▲77角まで先手勝勢(結果17図)
△34金と単に飛車を取るのはやはりダメで、▲77角がわかっていても鬼のように厳しく、支えきれません。結果17図は先手の攻めが止まらない局面で、先手勝勢です。
15図からの手順②
△46角▲47金△35角▲同飛△同銀▲34歩△86歩▲同歩△34金 ▲71角△52飛▲61角まで先手優勢(結果18図)
35と37を狙う△46角に対して、前回の形では▲26角と対応しましたが今回はもっと得をできます。▲47金から飛車と角を刺し違えた後に▲71角~▲61角が厳しいです。61の駒が銀ならば△42飛として▲53角成もあまり怖くはないのですが、今回は61の角が34の金を睨んでいることに注目してください。
結果18図以下は後手も飛車を逃げずに手持ちの飛車を下ろして攻めつつ、玉は上部で粘りに行く展開が予想されますが、▲36歩が利くこともあって後手玉の上部はそこまで広くないので大丈夫でしょう。
15図からの手順③
△26角▲66角(16図)
▲35歩にはやはり△26角が一番の強敵です。これは受けにくいので、前回の記事同様に▲66角と攻め合いを趣向します。ここで分岐します。
16図からの手順①
△35角▲同飛△同銀▲45桂△44歩▲33桂成△同金上▲45歩△同歩▲同銀まで先手優勢(結果19図)
まず、根本の歩を角で払う△35角は飛車で食いちぎってから▲45桂と跳ねます。対して△同桂は▲同銀で▲63角の筋を含みにガンガン迫ることができます。後手は△44歩から局面を収めに頑張りますが、▲45歩から攻めが続きます。先手は3筋4筋に歩が利く上、角のにらみも厳しくどう応じても後手は支えきれません。仕方のない△45同歩にも▲同銀として攻めが止まらず結果19図は先手+1200程の優勢です。
16図からの手順②
△37角成▲44飛△同金▲同角△86歩▲同歩△43金▲77角まで先手優勢(結果20図)
前回後手の手段として最有力だった△37角成には今回は▲44飛と飛車から切ります。代えて▲44角は取ってもらえず飛車角が負担になります。▲44飛以降は角を引いておいて結果20図は△75歩や△87歩の嫌味があるものの、それ以上に▲44歩~▲34歩が厳しく先手優勢です。後手は前回記事の変化に比べて52の金が54の銀になっていてあまり働いていないのが泣き所です。
16図からの手順③
△35銀▲27歩(17図)
△35銀は△43金右の形を生かした手で前回の▲43銀型だと▲64飛があるため△35銀とはできません。
△35銀には▲27歩と受けるのが覚えておくべきぴったりの好手で、後手からは以下△34金と△37角成に分岐します。
17図以下の手順①
△34金▲26歩△86歩▲同歩△87歩▲同銀△49飛▲25桂△同桂▲11角成△37桂成▲68金右まで先手よし(結果21図)
まず、飛車を取る△34金からみていきます。これには飛車角交換をして▲25桂とさばいていくのが急所です。ちなみに道中8筋の交換&垂らしがありますが、これはいつか入りそうなものですがなくてもあまり変わりません。また、飛車の下ろす位置についてですが、39は▲25桂~▲28角があるので先手優勢、29と49はあまり変わらないのでどちらでも本譜が使えると思っていただければ十分です。
▲25桂以下は馬を作りつつ玉型を固めて先手良しです。結果21図以下は▲71角や▲55香の要領で攻めていけばリードを拡大できると思います。
17図以下の手順②
△37角成▲35飛△46馬▲44銀まで先手ペース(結果22図)
△37角成に対しては素直に銀を取ります。ここで△19馬のような手では▲34歩が厳しく将棋が終わるので△46馬と当てて受ける一手ですがこれには▲44銀と打つのが飛車に紐をつけつつ攻めを継続するピッタリの一打で先手ペースの将棋です。
結果22図以降は手が広いですが、△35馬では先手の攻めが切れなくなりますし、△同金▲同角△43金も▲33飛成で先手必勝です。結果22図からは△65歩▲77角△66桂が面白い手ですが以下▲43銀成△同金▲39飛△58桂成▲同金△38歩▲同飛△37銀▲34歩△同金▲35歩(変化3図)が一例で先手の攻めが続き、勝ちやすいと思います。
今回は13図から②△43金右をみてきました。これもまた先手が十分以上に戦えることが分かったかと思います。この変化を解説するだけで本記事は2100字以上、図面11枚という長編になってしまうほどに網羅するには膨大な変化でした。次回は13図から③△26角について解説し、13図以降の変化に完全に結論を出したいと思います。
△54銀型雁木を潰す!左美濃急戦 part6
このシリーズは6回目の記事となり、主要な局面はあらかた触れてきたかと思います。
そこで今回からは頻出とまではいえないにしろ、知っておくべき重要な局面について調べていきましょう。
まず、この記事では先手の端歩の交換が入らなかった基本3図をテーマ図とします。
図は▲16歩に応じず、△74歩の一手を入れられたところです。実際端歩の交換をしない方が先手の攻めが決まりにくいため嫌な変化で、焦るところかもしれません。
とはいえ先手の攻めが全く決まらないかといえばそんなこともありません。というわけで基本3図からの攻め方を学んでおきましょう。
基本3図からの手順
△同歩▲33角成△同桂▲77角(12図)
基本3図からはおなじみの手順で攻めていきます。12図までは当然の進行で、12図から今までと違った形を生かした分岐があります。しかしpart6〜8は頻出である今まで通りの手順で進むと端の交換がない形でどうなるのか?を調べていきます。
12図からの手順①
△44角▲同角△同銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛(13図)
12図からの手順で、今までと違い、端歩の交換がないので▲15歩とは突けません。そこで飛車で横歩を取りに行きます。飛車が狭いですが大丈夫なのでしょうか。
後手の次の手は①△43銀引②△43金右③△26角に分岐します。(△86歩はいつでも入る歩で入れることの損得が難しいので除外します)
13図からの手順①
△43銀引▲35歩(14図)
①△43銀右には▲35歩と紐をつけるのが重要な手です。14図からもいくつか分岐があるので丁寧に調べましょう。
14図からの手順①
△34銀▲同歩△39飛▲33歩成△同銀▲45桂△86歩▲同歩△87歩▲77銀打△75歩▲28角△29飛成▲64角まで先手優勢(結果14図)
14図から飛車を取るのは先手の攻めが続きます。後手は33の桂が助からないので△39飛(桂馬にあてない△49飛や△29飛は▲66角が激痛)と攻め合いに活路を求めます。
しかし気持ちよく桂を跳ねて十分で、後手の嫌みな歩の垂らしにも▲77銀打とがっちり受けておけば大丈夫です。ゆっくりしていれば歩も十分な先手は33を狙いにいけば厳しい攻めになるので、後手は△75歩と攻めを継続しにいきますが、▲28角!が覚えておくべき角で結果14図は攻防共に先手有望で優勢です。
14図からの手順②
△46角▲26角△36歩▲44飛△同銀▲34歩△35銀▲47歩まで先手良し(結果15図)
②△46角と35,37の両狙いをするのは▲26角がぴったりです。以下、△36歩に飛車を切り飛ばし、△同銀▲34歩△35銀に▲47歩が冷静な一着です。
結果15図以下、①△26銀は▲46歩ではなく、▲45桂△同桂(△24角は▲33歩成から攻めが続く)▲46歩で急所に拠点を残した先手が十分で、②△37歩成は一回▲15角と覗いていおけば、後手はやることが多く、忙しい局面です。③△37角成は▲35角と銀の方を取って、先手1000点以上の+となります。
14図からの手順③
△26角▲66角△37角成▲44角△同銀▲同飛△43金右▲同飛成△同金▲34金△42金▲63銀△84桂▲44歩まで難解ながら先手有望(結果16図)
14図から③△26角が最善の手段です。対して35と37をいっぺんに受けるすべがないので▲66角と攻め合います。△35角は▲同飛から▲55角や▲44歩~▲34歩がうるさいので、▲66角には△37角成ですが、先手は飛車も角もぶった切ってからみつきます。
結果16図はお互い怖いところで難解ですが、次の▲43歩成が受けにくく、先手有望の終盤だと思います。(+300前後)
さて、今まで見てきたように13図から△43銀引は先手がよくなりそうでした。
今回は長くなったので一旦ここで切って、次回は13図で△43金右、△26角の変化を検討します。
角換わり腰掛け銀vs早繰り銀 研究最前線 part3
シリーズ3パート目となりました今回は3図からのもう一つの後手の変化を潰していこうと思います。まず、3図を再掲します。
復習も兼ねてまとめると基本1図からの殴り合い、▲64角に△92飛(part1)は後手ダメで、より優る△73歩の対応で3図へ進み、△42銀(part2)は先手良しの変化だったので、3図からは銀を手放す△42銀打、△52銀が本命になってきます。
なお、前回△42銀打と△52銀は3つの手段のうちの一つとして区別して書いていますが実際はすぐに同一の局面に合流するので、同じものと考えていただいて構いません。本記事でも同じものとして(△42銀打の変化をメインとして52は括弧書きで)書いていきます。
3図からの手順②
△42(52)銀打▲61歩成△53銀▲同と(6図)
後手は△42(52)銀と手厚く銀を投入して受けるしかなく、図までは一本道です。この時、6図(上左)と前回記事に出てきた4図(上右)との違いに注目してください。後手の33の銀があるとないとの違いで先手からの2筋攻めの耐久力が大きく変わってきます。そのため、6図の形では前回現れた継ぎ歩の筋はできません。
6図からの手順①
△31玉▲24歩△同歩▲23歩△同金▲43と(7図)
まず、6図から定番の△31玉を調べていきます。先手はとりあえず一本突き捨てます。対して△同銀は▲51と~▲52とが詰めろで入るので先手優勢です。(右上変化3図)
▲24歩に△15角もやりすぎなので△同歩の一手ですが、▲23歩で利かしです。
ちなみに▲23歩は手抜きたいところですが手段が難しく、△75角は▲51と~▲43とが速く、△76角は▲78飛、また、やってくる人はいないかと思われる△55歩という利かしをソフトが推奨することもありますが、これも手抜いて攻め合えば問題ありません。
▲23歩を利かした先手は好調な手順が続きます。
7図からの手順①
△76角▲42銀△同飛▲同と△同銀▲78飛△87角成▲28飛△75角▲58金打△66金▲76歩まで先手優勢(結果5図)
7図、▲43とに対して△75角は▲78飛で大したことがありません。△76角と43に利かせるのが最善です。先手も注意すべきは32ではなく42で清算することで、▲42銀に△同銀は一手詰みで論外ですし、△22玉も▲32金から寄り筋です。62での清算後は先手はと金を払い、手堅く指します。
▲28飛以降は後手の手が広い局面ですが、先手の方針としてはとにかく手堅く、手堅く指すのがコツで、飛車下ろしからの桂香確保やと金よりを間に合わせれば、はっきり先手の良い局面です。
▲28飛からの攻め筋として何個か例として挙げておくと、頻出の①△75角から△66金に対しては▲76歩がぴったりなので頭に入れておきましょう(結果5図)。他にも②△75角~△66銀には▲48玉、△75角に代えて単に③△66銀と先に打ってこられた場合は、▲58銀(金ではない理由は結果5図のように進んだときに後手の持ち駒に金があるので△57銀成~△69金とできるため)、単に④△66金は受けにくいのですが▲51とと攻め合えば指せる、というくらいに4種類の攻めの対応を見につけておけば十分問題ありません。
6図からの手順②
△75角▲22銀△53角▲21銀成△75角▲48玉△66金▲38玉まで先手優勢(結果6図)
最後に 6図からの他の手を見ていきましょう。といっても実は有力なのはあまりなく、△76角なんかは▲24歩~▲78飛で大したことはありません。
△75角が普通ですが、▲22銀が厳しい一着です。これは何で取っても▲52銀から寄り筋なので△53角としますが▲21銀成が詰めろです。詰めろを解除する△75角の一手には冷静に△48玉として先手玉には怖いところがありません。△66金は一例ですがヒラリと▲38玉で十分です。結果図以降は後手の攻めをうまくいなすイメージで指しつつ▲71銀~▲62銀成のような確実な攻めを狙っていけば勝てる将棋です。
以上で基本1図からの変化を全て紹介することができました。いずれも先手良し以上になり、▲65歩が成立することを定跡本よりも決定的に結論づけられたかと思います。次回からはもう少し進んだ駒組での早繰り銀に入っていきたいところですが、もう少し類似系(△94歩、△51玉型)での変化を紹介したり腰掛け銀後手番の形について触れつつ、結論付けたいと思います。