将棋研究 2六歩の足跡

対三間箱入り娘急戦 part8 36手目△同歩、44手目△71金型②

15図を再掲します。前回は①△53歩を調べて先手良しだったので、今回は②△47ととここで攻め合う順を調べます。

f:id:shogi_vinegar:20181218004921j:plain

15図からの手順②

△47と▲51飛成(18図)

f:id:shogi_vinegar:20181218010108j:plain

△47とには▲51飛成と竜を作ります。ここでまた後手の手が分岐します。

有力なのは①△46とと②△61金引の二つ。

他に③△38飛成は▲16角~▲53歩が厳しく1500点以上の優勢、④△39飛成も▲44角くらいで受けにくく⑤△61金寄も▲44角が鬼のように受けにくく、2000点以上の勝勢、⑥△61銀は評価値1000以内であるもののこの場合は▲44角から▲42成桂と使っていってやはり先手優勢はゆるぎないものでしょう。

18図からの手順①

△46と▲95歩△61金引▲55竜△38飛成▲94歩まで先手良し(結果18図)

f:id:shogi_vinegar:20181218012910j:plain

銀取りの自然な①△46とに対してはこのタイミングで▲95歩と突くのが急所です。この時後手が△同歩と取ると▲92歩が痛打です(△同香なら▲91銀)。よって一回は△61金引と竜を追い払いますが、▲55竜と天王山に据えた形がまたと金取りになっています。

 後手はと金を守る適当な手段も難しいですし、9筋に手を戻しても▲93歩が嫌味なので△38飛成と飛車を成っておくくらいですが▲94歩と取り込んだ形は次の▲93銀や▲46竜、▲51成桂に▲16角など手に困ることがない先手がはっきり良しの局面です。

18図からの手順②

△61金引▲53歩△51金▲同成桂△46と▲52歩成△44角▲77角まで先手優勢(結果19図)

f:id:shogi_vinegar:20181218014246j:plain

△61金引には飛車を逃げず堂々と▲53歩と垂らしておくのが好手です。後手は竜をこのままでにしておくはまずいので一回は竜を取りますが、そのあと指す手が難しいです。例えば△53飛と払っても▲52金で物量に押されます。自然なのは△46とから44へ絶好の位置への角打ちですが冷静に▲77角と合わせておけば大丈夫です。結果図は先手1000点以上の優勢で以下△55歩と止めても▲61金からの重い攻めが受かりません。

ここで意識すべきことは、とにかく先手は物量攻めをしておけば固さの差で大駒を渡しても負けないので優勢に立てます。

以上、15図からの変化を回収し終えました。やはり15図でははっきり先手良くなる変化ばかりでしたね。今回は前回に比べると短めですがここで区切って、次回は14図に戻り①△22歩ではなくここで②△47とと攻め合う順を調べます。

対三間箱入り娘急戦 part7 36手目△同歩、44手目△71金型①

今回は11図から最強の手段、△71金を調べていこうと思います。

11図を再掲します。この変化は後手にとって有力な変化が多いので慎重に細かく図面を使って調べていきます。

f:id:shogi_vinegar:20181211004757j:plain

11図からの手順⑥

△71金▲41桂成△62角▲同角成(13図)

f:id:shogi_vinegar:20181210180146j:plain

11図から⑥△71金とすれば13図まではほとんど一本道です。問題はは13図で①△同金引、②△同飛どちらも有力でともに検討が必要です。ちなみに△同金上は前々回記事の11図から△52金の変化と合流し、金の形が悪いので先手有利です。

まずは△同金引から見ていきます。

13図からの手順①

△同金引▲24飛(14図)

f:id:shogi_vinegar:20181210215313j:plain

△同金引には当然▲24飛と走って勝負します。ここで再び後手の手が分かれます。すなわち、①△22歩と受ける手と②△47とと攻め合う手です。

14図からの手順①

△22歩▲33歩成△同飛▲54飛(15図)

f:id:shogi_vinegar:20181210215459j:plain

△22歩には▲33歩成とします。△同桂では▲54飛の後に▲43角の筋も残り、なにをやっているかわからないので△同飛の一手に▲54飛と銀を取っておきます。

ここでも後手の手が分岐し、△53歩、△47とが有力手です。他にも候補はありそうですが、△51飛成に手がないと当然苦しくなりますし、それを上回るような攻め筋も△47と以外考えにくいので、この二択以外はないと思われます。

 15図からの手順①

△53歩▲44飛(16図)

f:id:shogi_vinegar:20181211000314j:plain

△53歩には一回▲44飛とよります。ここでも後手の分岐が2通りあります。疲れますね。

 16図からの手順①

△47と▲51角△43歩▲34歩△23飛▲64飛△63歩▲24歩△64歩▲23歩成△61金▲42飛△46と▲62銀まで先手優勢(15図)

f:id:shogi_vinegar:20181211001746j:plain

△47との攻め合いには▲51角と打つのが急所です。対して①△46となら▲34歩と打ってⅠ△43歩なら▲62角成を利かしてから飛車を取り合って陣形差で先手優勢、Ⅱ△24飛なら▲24歩と打ち、今度の△43歩には▲46飛が冷静で後手の飛車だけが死んでいる形です。また、▲51角に②△38(39)飛成は▲62角成~▲42飛成が非常に受けづらいです。例えば△71角なら▲51成桂とよって▲61金をみせ、それに△33角には▲62飛成~▲52成桂で先手が押し切れる格好です。

よって▲51角には③△43歩と受けますが、▲34歩~▲64飛~▲24歩と歩で飛車を捕まえに行きます。飛車を取り合った形はこれも陣形差が生きる展開で▲42飛と打って攻めれば十分です。以下、受けも難しいので△46とくらいですが、▲62銀と打ち込んだ結果15図は先手の攻めが止まらず優勢です。結果図から清算して△71銀も、▲32竜と逃げておいて▲61金という少し見えづらい寄せがなかなか厳しいです。

飛車交換のあった局面はこのような形では基本的に先手良しだと覚えておいてください

16図からの手順②

△43歩▲24飛(17図)

f:id:shogi_vinegar:20181211003906j:plain

16図からは△47とはダメで△43歩が最善です。対して先手は▲24飛と回ります。後手はここで①△23歩と飛車成を許さない手と②△47ととこのタイミングで攻め合う手があります。

17図からの手順①

△23歩▲34歩△24歩▲33歩成△47と▲43と△46と▲42成桂△28飛▲58歩まで先手優勢(結果16図)

f:id:shogi_vinegar:20181211003831j:plain

17図から△23歩とする手には▲34歩と打って飛車交換を目指します。上でも述べましたが、このような形では基本的に先手良しです。

以下は先手が望めばほぼ一本道の進行です。先手はと金と成桂の活用が遅いようでも意外と早く、また最終手▲58歩が後手の攻めを止める好手で、後手にとって攻めにくい展開でこれも先手優勢です。この▲58とも46にと金がいる形ではよく出てくるので覚えておきましょう。

17図からの手順②

△47と▲51角△38飛成▲62角成△同金▲22飛成△61金▲51成桂△同金▲63銀まで先手優勢(結果17図)

f:id:shogi_vinegar:20181211005647j:plain

△47との攻め合いにはやはり▲51角と打って対抗します。対して△23歩は▲34歩がありますし、△46とは▲22飛成△61金▲33角成△同桂▲52歩が間に合います。先手の形は耐久力があり、△55角などの筋も意外と結構耐えるので攻めさえ切れなければ一手勝ち以上が見込めます。

▲51角には△38飛成が正着ですが、角を切り飛ばしてから▲22飛成が厳しいです。△32歩のような受けでは▲21竜で逆効果なので△61金と引くくらいですが、▲51成桂~▲63銀が見えづらい寄せで角、桂しかない後手は受けが難しく、先手優勢となります。

以上、長く書いてきました。

今回回収できた変化は15図から①△53歩以下で、どれも先手良くなりました。変化があまりにも多いので回収に時間がかかりますが、次回以降も残り変化を回収していこうと思います。

追記:今回から44手目△71金の変化に関する記事が続くため、記事のタイトルを変更し、36手目△同歩型の中でもさらに44手目△71金型としました。

対三間箱入り娘急戦 part6 36手目△同歩型③

早速前回の続きとして11図からの後手の応手を考えていきたいと思います。11図を再掲します。

f:id:shogi_vinegar:20181207014101j:plain

11図からの手順⑤

△62角▲24飛(12図)

f:id:shogi_vinegar:20181207014256j:plain

▲53桂不成に△62角と間接的にぶつけてくる手も有力です。非常に振り飛車党らしい手で実戦でもかなり頻出の局面だと言えます。

ここで先手が▲61桂成としてしまうと、△44角と気持ちよく出られ、これは先手が不満な展開です。よって△62角には▲24飛と出ます。この局面で後手の手が分岐します。まさか△22歩などで受けるわけにもいきませんから(▲33歩成~▲61桂成)後手の手は①△53角と②△53金です。

12図からの手順①

△53角▲同角成△同金▲21飛成△31歩▲37銀△55角▲26角まで先手良し(結果13図)

f:id:shogi_vinegar:20181207015657j:plainf:id:shogi_vinegar:20181207022905j:plain

まず、△53角ですがこれはあっさり交換して飛車を成ります。▲21飛成に△34飛は▲25角が厳しいので△31歩が一番手堅いのですがここで▲37銀と払うのが落ち着いた一着です。△55角には▲26角と打った手がぴったりで結果13図以下は△52歩などと受けるくらいですが▲77桂打と手堅く受けておいて△34飛に▲46銀とぶつければ先手良しです。

また、△55角で△34飛と走る手にも▲26角が成立します。この場合先手からは▲46桂の狙いも残るので後手はより忙しいです。△44角と合わせても▲同角△同金▲35歩(変化1図)で先手好調な順が続き、先手はっきり良しでしょう。

12図からの手順②

△53金▲21飛成△12飛▲88角△47と▲33歩成△46と▲22と△57桂▲12と△69桂成▲同金△65銀▲11角成まで先手優勢(結果14図)

f:id:shogi_vinegar:20181207021923j:plain

②△53金には▲21飛成と攻め合います。角と飛車の取り合いでは先手に分のある形ですから、△12飛(△52飛もあるものの▲11角成△47と▲55銀で先手捌け形)と逃げます。ここで▲88角!と引くのが気付きにくい好手。これは▲33角成に比べて33の地点を開けておく意味があります。△47とには▲33歩成から飛車を捕獲しに行くのが一番早い攻めで、ここで△52飛としても▲43歩が厳しいです。よって取り合いになりますが、先手が良い形です。△57桂以下は一例ですがどうやっても飛車を捕獲しつつ馬まで作った先手が優勢だと言えます。

以上、△62角に対する対応を見てきました。これもやはり竜を作った先手の勝ちやすい展開になりました。区切りが良いので後手の大本命⑥△71金は次回に回します。それではまた!

対三間箱入り娘急戦 part5 36手目△同歩型②

更新間隔が開いてしまいましたが、箱入り娘記事の続きからやっていきたいと思います。 前回の記事のリンクを貼っておきます。

対三間箱入り娘急戦part4 36手目△同歩型① - 将棋研究 2六歩の足跡

 前回は9図で①△34飛を調べ、▲11角成から▲45桂~▲35歩で飛車の取り合いでも後手が飛車を逃げても先手やれるとの結論が出ました。そこで今回はもう一つの選択肢②△36歩を調べましょう。

9図からの手順②

△36歩▲45桂△37歩成▲53桂不成(11図)

f:id:shogi_vinegar:20181130114250j:plain

△36歩に対し、▲52歩という手もありますが、変化が煩雑で難しいので▲45桂をお勧めします。対して後手は△34飛では前回の記事の10図に合流してしまい失敗なので、強く△37歩成とします。先手はこれを取ると桂馬を取られて失敗なのでここはもっと強く▲53桂不成!とします。

さて、ここで後手の対応が大量にあり、当然ですが全ての変化に対応しきらなければいけません。今回の記事と次回の記事に分けて、潰していきましょう。まず、一番後手がやらなさそうな順から潰していきます。

11図からの手順①

△同金▲同角成△28と▲54馬△34飛▲21馬△38飛成▲11馬△56桂▲86桂まで先手優勢(結果9図)

f:id:shogi_vinegar:20181130114741j:plain

まず単に桂を取って飛車を取るのは、先手はひたすら駒得をしていく方針でいきましょう。結果図まではほぼ一本道ですが▲86桂が桂馬を取ってからの▲74桂打などをみて厳しく、先手優勢です。

11図からの手順②

△28と▲61桂成△同銀▲11角成△41飛▲59香△19と▲44金まで先手良し(結果10図)

f:id:shogi_vinegar:20181130115724j:plain

 ▲53桂不成に手抜いて飛車を取るのは▲61桂成~▲11角成としておきます。このとき△34飛には▲35香があるので後手は飛車を走りにくいです。しかし▲21馬を許さない△41飛打が唯一の良い粘りで▲59香と打ちますが簡単ではなさそうです。しかし△19とに▲44金!というのがソフトでも時間をかけてやっと示した好手で、上部を抑え込んで後手がしびれています。ちなみに▲44金を発見できずに▲54香とやると△同金のときに手が難しく思いのほか混戦になるので注意してください。

11図からの手順③

△52金▲41桂成△62角▲同角成△同金寄▲24飛△22歩▲55歩△43銀▲37銀まで先手優勢(結果11図)

f:id:shogi_vinegar:20181130120557j:plain

△52金と上がってくるのはどうでしょうか。これには▲41成桂から角交換をした後飛車を走った手がと金の当たりを避けつつ味がよく、その後で冷静に▲37銀と手を戻して先手優勢の分かれです。後手からは次に指したい手がなく、対して先手からは▲23歩くらいでも手になります。

11図からの手順④

△34飛▲61桂成△同銀▲11角成△28と▲35香まで先手優勢(結果12図)

f:id:shogi_vinegar:20181201000110j:plain

先に△34飛としてもやっぱり香を取って▲35香が間に合います。ちなみに△61桂成に△44飛は▲51成桂△28とに▲53歩などで先手勝勢です。基本的に▲53桂不成に直接攻め合う手はすべてダメだと思っていいでしょう。

今回の記事はこれで以上です。他にも論外な手としては△62金上、△42角などがありますが、まあどちらの手も他の変化に比べて損しているだけなので論じるまでもなく▲41桂成で先手優勢です。次回以降は残された有力な二つの応手、⑤△62角⑥△71金について検討します。

 

威力抜群!対先手中飛車居合い抜き超速△65銀ぶつけ part6

基本1図を再掲します。

f:id:shogi_vinegar:20181109010043j:plain

今回は基本1図から最後の手段、④▲75歩を検討します。こんな手はあまり指されないかと思いますが、なめてると痛い目に合う変化もあるので注意が必要です。

基本1図からの手順④

▲75歩△84飛(11図)

f:id:shogi_vinegar:20181109011148j:plain

▲75歩にはあわてず騒がず△84飛と浮きましょう。代えて△同歩でも悪くなることはありませんが、この交換が入ると先手の攻め筋が増えて今までの変化では悪くなってしまうものもあり、対応を覚えなければなりません。そのため△84飛の方がケアする変化が少なくて済む分優ります。

さて、11図からは①▲78金②▲74歩が有力です。▲65銀は△同桂で目標の桂がさばかれてしまって得がなく、▲75歩を入れない今までの順で後手優勢です。

11図からの手順①

▲78金△66銀▲同角△86歩▲同歩△69銀▲68飛△78銀成▲同飛△86飛▲88歩△65桂まで後手優勢(結果12図)

f:id:shogi_vinegar:20181109011536j:plain

▲78金にはひそかな狙いがあり、△69銀を打たせて▲78飛と回りそこで▲74歩を突くのが先手にとって理想です。しかし、▲同角の瞬間△86歩が入ります。対して▲74歩は△同飛が次の△69銀を見て逆先で、やむなしの▲75銀には△34飛とかわしておいて△69銀や△65桂、△13角など豊富な攻め筋を見て後手優勢です。

よって、戻って△86歩には▲同歩ですが△69銀からばらして飛車を走り、△65桂と跳ねた結果12図は75の歩がぼけていて捌けそうな後手が優勢です。また、この順に限らず先手がマニアックな手を選んだとしてもとにかく後手の方針としては桂を跳ねて目標にならないようにしていけば自然と良くなります。

 11図からの手順②

▲74歩△同飛▲65銀△同桂(12図)

f:id:shogi_vinegar:20181109013438j:plain

よって11図では▲74歩が普通ですが△同飛にどうするか。角を逃げる手は右に逃げると△66銀に▲同角と取れず▲同歩に△67銀があります。また、△88角と逃げると△76銀▲78金に△86歩~△87歩が厳しく、▲97角は△95歩、▲79角は△67銀成でいずれも困ります。戻って△同飛には▲65銀が自然ですが△同桂で後手の駒が躍動してきました。

12図からの手順

▲66角△13角▲46銀△86歩▲同歩△88歩まで後手優勢(結果13図)

f:id:shogi_vinegar:20181109015437j:plain

12図からは角を逃げないといけませんが、68以外は△13角で▲66銀に△57銀をみて後手優勢、68は△78銀が厳しく後手勝勢です。最善は66に逃げる手ですが、これも△13角を入れてから△86歩▲同歩△88歩がうまい攻めでしびれています。結果13図以下は桂を逃げてもと金が大きいので先手はこの歩を取るよりありませんが、何でとっても△57銀からばらしていけ分かりやすく後手優勢かと思います。

以上で、基本1図からの手順を全て潰してきました。基本1図ではすでに後手よしになることが分かっていただけたかと思います。

このシリーズはこれで終わりとします

 

追記:一部内容を編集しました。元々もう一局面紹介する予定でしたが、△65銀自体の局面の頻度が現状さほど多くないことを考慮し、キリもいいのでここでこの△65銀シリーズは終わらせました。

 

威力抜群!対先手中飛車居合い抜き超速△65銀ぶつけ part5

基本1図を再掲します。

f:id:shogi_vinegar:20181103004104j:plain

前回は基本1図から②▲59角を調べました。持久戦模様ですぐに必勝、というわけではありませんが、後手よしの展開だったように思います。

そこで今回は基本1図から③▲78金を調べます。この手は正直あまりいい手ではありませんが、対応を間違えると後手も大変です。

基本1図からの手順③

▲78金△66銀(10図)

f:id:shogi_vinegar:20181103004716j:plain

後手は▲78金に対しては△66銀と銀を取って△69銀の筋を狙います。

10図からの手順①

▲同歩△69銀▲68飛△78銀成▲同飛△67金▲88飛△77金▲同桂△34歩▲46銀△67角まで後手勝勢(結果10図)

f:id:shogi_vinegar:20181103005145j:plain

10図から▲同歩は論外で、単純に△69銀~△67金が厳しいです。飛車の逃げ場は、88以外であれば△86歩が厳しいので▲88飛と逃げますが、単なる角金交換では止まらず、結果10図は馬作りが受からず、右辺を潰した後手が勝勢です。

10図からの手順②

▲同角△86歩▲84銀△65桂▲77桂△57銀まで後手優勢(結果11図)

f:id:shogi_vinegar:20181103010058j:plain

よって、10図では▲同角としますが、ここで△86歩と一本突くのが筋です。

代えて△69銀は▲68飛△78銀成▲同飛の局面で(1)△56金は▲75歩、(2)△86歩は受け流すように▲58飛で意外と大変な局面です。

よって、このタイミングで突くべきですが、△86歩に▲同歩は後で飛車が走れるので自然に後手優勢になります。そのため▲84銀と重く打つのが粘りの好手。後手は桂を跳ねるのが正解ですが、▲77桂が継続の狙いで△同桂成では先手に捌かれ後手も大変です。しかし▲77桂に対し、△57銀!と強くいくのが知らないと指しにくい好手で後手の攻めが成功します。

結果図以下、▲同角は清算して84の銀が取れますし、▲同飛は清算して△87歩成~△89飛がわかっていても非常に受けにくいです。また、どこかで△13角のぶつけもあって先手収拾困難でしょう。

ちなみに△65桂に▲77桂以外の手、例えば▲86歩は△69銀~△56金や△13角で先手ひどいのでこれも優勢です。

以上、基本1図から③▲78金を見てきましたが、やはり先手まずいことがわかりました。次回は先手最後の手段、秘手④▲75歩を調べます。指してくる人は少ないとは思いますが、意外と初見で対応するのは大変な手なので検討する価値はあると思います。

では、また次回お会いしましょう。

 

 

 

 

威力抜群!対先手中飛車居合い抜き超速△65銀ぶつけ part4

基本1図を再掲します。

f:id:shogi_vinegar:20181008230948j:plain

part1~3までは、基本1図から①▲同銀という手をみてきました。

そこで、今回は②▲59角という手を調べます。この手の狙いは後々のあたりを避けることで、後手の攻めを緩和しています。

基本1図からの手順②

▲59角△66銀▲同歩△67銀▲57飛△86歩▲同歩△76銀成(9図)

f:id:shogi_vinegar:20181008234650j:plain

▲59角に対しては△66銀とします。代えて△76銀も有力ですが先手の手段が豊富で局面を絞りにくいのでお勧めしません。

△66銀以下▲同歩△67銀に▲88飛は△34歩くらいで後手よしなので▲57飛と逃げますが、そこで△86歩!が訳あって今しか入らないきわどい利かしなので覚えておきましょう。対して▲67飛は△87歩成で銀得でも歩切れで後手の飛車先が非常に受けにくく、△78とや△13角などの筋に先手が支えきれないので後手優勢です。また、△86歩に▲同角も△76銀成が当たってくるので論外です。

よって、△86歩には▲同歩ですが、そこで△76銀成としておきます。

9図からの手順

▲56飛△86成銀▲65歩△85成銀▲86歩△75成銀まで後手十分(結果9図)

f:id:shogi_vinegar:20181009004543j:plain

9図からは△66成銀や△13角があるため▲56飛と浮き、後手は△86成銀と歩を回収します。後手の狙いは△76成銀とまた戻って▲86歩に△同成銀とひたすら先手の歩を枯らしに行くことです。

先手は86に成銀を行かせ続けてはならないので、▲65歩から紐をつけて▲86歩としますが、△75成銀としておいて、後手の成銀が手厚く、後手十分です。

その他、9図以下は色々先手も手が広そうな局面ではありますが、解説した順のように成銀を引きつけて持久戦に持ち込めばどの変化も後手がやれるようです。

今までに比べると少し短めですが今回の記事はこれで終わりとして、次回は基本1図から③▲78金を解説します。